【ブックレビュー】読書の流儀。2019年8月頃読んだ本のまとめ

読書

はじめに

ところで、僕はブックレビュー(書評)を読むのも書くのもあまり好きではない。

「じゃあ書くなよ」

と言われるとそこで終わってしまうのだが、なぜ好きではないかを一応説明しておくと、本に書かれている内容の受け取り方は読む人や時期によって異なるし、少しでも興味を持った本があれば他人の書評など読まずにさっさと買って読んでしまった方が良いと思うからだ。

ブックレビューには読後に読んで共感したりするという使い方もあるかと思うが、好きな人ならともかく、残念ながら僕は赤の他人と共感したいとも思えない。

そんなわけで、このブログのブックレビューも、ここ最近読んだ本を自分の備忘録(びぼうろく)を兼ねてサクッと紹介するだけにしようかと思っている。

本を次々に購入していると出費がかさみそうだが、本の平均値段が1冊あたり1,000円だとすると、1年間に1,000冊読んでも100万円にしかならない(ちなみに、1年後にまとめてブックオフで売ると10万円にはなると思う)。

1日1冊だと1年間で365,000円である。

一言で言うと大金に聞こえるかもしれないが、読書に費やすお金と時間はそれ以上の価値をもたらしてくれると思うし、何より僕は人生を変える一番手っ取り早い方法が読書だと思っている。

なぜなら、本には普段の生活で出会うことがないような偉人たちの言葉や知恵が詰まっているからだ。

もちろん、実際に人生を変えようと思ったら時には読書後に行動を起こす必要もあるだろう。

様々な自己啓発本にも、「何でもやってみることだ」なんてまるで呪文のように書かれているじゃないか。

しかし、そんな使い古された言葉ではなく、ここでは一歩進めて考えてみたい。

本を読み込めば読み込むほど、そこに書かれている内容は次第に自分にとって当たり前のことになってくる。

以前は当たり前ではなかったことが当たり前になるということは、意識が変わるということだ。

意識が変われば、行動を起こすのはそれほど難しいことではないだろう。

たまにサクッと自己啓発本を読んでちょっとやってみたけどダメだった、なんていうのはよくある話で、ある程度の成果を得ようと思ったら、何事も時には気が狂うほど取り組まなければならないと思っている。

それが、僕が提唱する「カンダイ式夢を叶える読書法」である(説得力ゼロ)。

と言っても、僕は「人生を変えるために読書をする」という大層な考えは持っておらず自分の知的好奇心の導くままに読書をしているのだが、それでも人生は少しずつ良い方向に向かっているように感じる。

人生100年時代なので時間はまだまだある。さぁ、今すぐ気が狂うほど読書をするのだ!

どうでも良い前置きが長くなってしまったが、2019年8月頃に読んだ本を抜粋して以下に簡単にご紹介したい。

なお、本にはいつも通りAmazonへのリンクを張っているが、Kindle版があるものはKindle版で統一している。

『深読み古事記 日本の神話と古代史が100倍おもしろくなる!』戸矢学

最近日本神話に興味を持ち始めたので手に取ったのだが、著者は神道の専門家だけあって古事記初心者の僕には分かりづらい記述も多く、本書を読むのはまだまだ早かったように感じた。

「おむすび(おにぎりの意)」とその言葉の由来にもなっている神様「むすびのかみ」のくだりなど納得しながら面白く読めた部分もあるのだが、後半はほとんど流し読みしてしまった。

本書は文章ばかりでイラストはほとんどないので、古事記初心者の方は本書と同じコンビによって書かれた『愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記』から読むことをおすすめする。

古事記に詳しくなってからもう一度出直してきます。

『後悔しない超選択術』メンタリストDaiGo

DaiGoと言えばテレビでカードゲームやっているイメージしかなくて結構本を出しているとは知らず、読み始める前は「中身のない芸能人本かなぁ」と思っていたのだが、読み進めていくうちに「この人、頭良いなぁ」に変わっていった。

人生は選択の連続で構成されているが、選択の前後における各パターンについて、脳科学と心理学を用いて分かりやすく解説されている。

ついつい直感や感情に任せて選択しがちになってしまうが、(特にそれが重要な選択であった場合)合理的に選択肢を検討した上で選択し、完璧な選択肢は存在しないことを理解した上で、選択の結果がほどほどであっても満足することが重要だということを分からせてくれる。

サクサクと読めるので、選択に後悔しがちなあなたには是非読んで欲しい一冊。

『むらさきのスカートの女』今村夏子

第161回芥川賞受賞作。最近はあまり小説は読まないのだが、インパクトのあるタイトルが気になってふと読んでみようと手に取った。

粘着質なストーカー女の物語で、読み終えた後は『世にも奇妙な物語』を見た後のような不思議な読後感に包まれた。

読み手によって色々と解釈が変わりそうな内容だが、さくっと読めてそれなりに楽しめるので興味を持ったら読んでみると良いだろう。

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング他

人間は不安や恐怖に目が行きがちなので、メディアも良いニュースではなく悪いニュースばかり取り上げてしまう。

僕も初めて南インドのケララ州(ちなみに本書にも登場する)を訪れた際、メディアで報道される恐怖のインドとは異なる平和な雰囲気にあっけに取られたものだ。

また、マレーシアの空港やタイのバンコクなどを訪れてその発展ぶりを目の当たりにするにつれ、「発展途上国」や「後進国」という言葉にはなんだか違和感を覚えずにはいられなかった。

ネットやテレビで情報が伝わりやすい現代だからこそ世界は悪くなっているような印象を受けるが、実際には世界はだんだんと良くなっているということが本書を読むと分かるだろう。

世界を正しく理解するためには、メディアに踊らされるのではなく、数字(データ)を基に実際に自分の目で確かめるのが一番だということを認識させてくれる良書である。

著者の人間性が窺えるユーモアも交えて書かれており、ページ数が多いこともあって旅行中の空き時間を楽しく過ごすことができた。

『決定版 日本書紀入門』竹田恒泰・久野潤

著者の2人の対談形式で日本書紀を紹介する本。

日本書紀の内容についてはそれほど詳しく触れられていないが、ただ単に読み物として面白く、スラスラと読み進めることができた。

日本書紀がどんなものであるかを知りたい初心者の方にはおすすめの本だ。

日本が現存する世界最古の国であるという事実、また東京オリンピックが開催される2020年は日本書紀編纂1300年でもあるという事実は知っておきたい。

『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』大野正人

子ども向けにイラストを交えて優しく書かれた本だが、大人が読んでも十分に楽しむことができる。

タイトルから期待するほど「ダメだった」というわけでもなく偉人にも「ダメなところはあった」という方が適切かもしれないが、偉人の失敗伝だけではなくその偉業や人生についてもざっくりと学ぶことができるのでおすすめだ。

ギャンブル狂で著者に「人間のクズ」呼ばわりされるドストエフスキー、そしてイギリス留学中に引きこもりになった夏目漱石が個人的にはツボだった。

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット

データによると人間の平均寿命は延びる一方で、長寿の国日本でも平成生まれや令和生まれなどの若い世代が100歳まで生きるのが当たり前になるのはもちろん、アラフォーの僕でも100歳まで生きる可能性が十分にある。

そうなれば、仮に65歳で引退しても老後が35年はあるわけで、今までの教育・仕事・引退の3ステージでは老後が成り立たず、100歳まで生きることを想定して人生設計をする必要があるという内容だ。

欧米人らしくデータを示して長々と書かれていてかなり読み応えがあるのだが、僕にとっては100歳まで生きるという事実が分かって意識を変えるのに役立っただけでも十分だ。

なお、まんが版もあるのだが、原書と比べて文章量は驚くほど少ないにもかかわらず、エッセンスは十分につかむことができるのでサクッと(1時間くらいで)読みたい方にはおすすめだ。

それにしても、大手に内定が決まっているにもかかわらず、特に明確な理由もなく旅立ってしまう美咲ちゃん(まんが版の主人公)がおじさんは心配です。

日本は就職するのが難しいので、100年時代に向けて社会も変わっていく必要があると感じる。氷河期世代なんとかしてくれ。

今月の一冊

ただ単に読み物としては『FACTFULNESS』の方が面白かったのだが、僕の考え方に大きな影響を与えてくれたという意味で、『LIFE SHIFT』を上記にご紹介した本の中で一番おすすめの本に挙げたい(数年前の本だけど)。

当初、80歳くらいまで働いてさっさと旅立つ予定だったのだが、100歳まで生きるのが現実的だと知ってなんだか希望が湧いてきた。

例えば司法試験への挑戦や新しい仕事への挑戦など、アラフォーともなると時間がかかることに新しく取り組む意欲がなかなか湧いてこなかったのだが、これから60年も生きるとなると何かを始めるのに遅いなんてことはないと思える。

皆さんも是非、『LIFE SHIFT』を読んでこれからの人生設計を考えてみてはいかがだろうか。