花蓮市内に滞在した後、花蓮市の北約30kmのところに位置するタロコ(太魯閣)峡谷を訪れた。
タロコ峡谷(または渓谷)は立霧渓(たっきりけい)と呼ばれる川が大理石の岩盤を侵食してできた大峡谷で、台湾随一の景勝地として観光客にも人気が高い。
タロコ峡谷の構造を簡単に説明すると、タロコ峡谷の入り口にある門から天祥までの約18kmがタロコ峡谷の範囲で、東西横貫公路と呼ばれる車が通れる道路が走っており、その道中のところどころから遊歩道(トレイル)が伸びているという構造になっている。
僕は初めてのタロコ峡谷でどこを歩いたら良いかも皆目見当がつかなかったので、とりあえずタロコ峡谷の入り口から天祥に向かって東西横貫公路を歩いてみることにした。
しかし、はっきり言ってこのルートはおすすめできない。
絶景を眺めながらの18kmならそれほど苦もなく歩けるだろうと思っていたのだが、東西横貫公路は多くの場所においてとにかく歩道が狭い(と言うかほとんどない)のだ。
東西横貫公路は大型バスがギリギリすれ違えるくらいの幅で、車道にはみ出しながら東西横貫公路を歩いていると、すぐ横を観光客を乗せた大型バスがひっきりなしに通り過ぎるので、いつ追突されるかと気が気でない。
それに、台湾人ドライバーの運転の荒さを知っているとイマイチ信用できず、「ちゃんと避けてくれるのだろうか」と不安になるのだ。
しかも、つい最近(2019年4月)この付近を震源地とする最大震度7の地震があり、タロコ峡谷でも落石で1人が重体となっている。
これまでも落石による死亡事故がたびたび発生しているようだし、おまけにここ最近花蓮は雨が続いていて地盤が心配だ。
確かにタロコ峡谷の景色は美しいのだが、後ろから迫り来る車、そして落石の恐怖に怯えながら歩いていると、景色をのんびりと楽しんでいる余裕なんてなかった。
「天祥までの約18kmを踏破すると、あの世に行く確率は数パーセントくらいあるんじゃね?」
そんな考えが頭をよぎり、結局、途中の布洛湾というところまで来て引き返すことにした。
布洛湾にはビジターセンターがあってここでタクシーを拾って帰ろうと思ったのだが、スタッフに聞いてみたところタロコ峡谷で空いているタクシーを捕まえるのは困難らしい。
道路では頻繁にタクシーを見かけるのだが、どうやらそのほとんどはチャーターらしかった。
布洛湾では帰りのバスの本数も少なかったので、結局、その先の燕子口まで歩いてバスに乗って引き返すことにした。
東西横貫公路を歩くのはおすすめできないので、タロコ峡谷の観光は、花蓮市内からタクシーをチャーター(あるいはツアーに参加)するか、それかバスでところどころ降りながらいくつか見どころを見て回るのが良いのではないだろうか。
あるいは、そこまでトレッキングに興味がない方であれば、タロコの入り口から近くの砂卡礑(シャカダン)歩道まで歩くだけでもタロコ峡谷の景色は十分に楽しめると思う。
わざわざタロコ峡谷に1泊して挑んだ僕だが、それなりに絶景を楽しむことはできたものの、準備不足だったこともあってタロコ峡谷の観光は期待外れに終わってしまった。
登山家や冒険家ならまだしも、落石や車に引かれるリスクを負ってまで歩くのは楽しくなかったなぁ、という感想だ。
天祥までは半分も行くことができなかったが、なんだか歩くのも嫌になってきたので、早めにホテルに戻ってのんびりと過ごすことにした。
タロコ峡谷、台湾随一の絶景を味わえることは間違いないので訪れる価値はあると思うが、くれぐれも事故には気を付けて欲しい。
タロコ峡谷への行き方
花蓮駅前からタロコ峡谷行きのバスに乗ることができる。
花蓮駅前に花蓮客運バスの建物があるので、そこでチケットを購入すれば良い。
花蓮駅からタロコ峡谷の入り口である太魯閣までは約40分、タロコ峡谷の終点となる天祥までは約1時間15分だ。
路線や時刻表は以下のサイトを参照して欲しい。
住所と地図
花蓮縣秀林鄉富世村富世291號