4月末の南インドの猛烈な暑さの中、蚊に刺されまくりながら、僕は目の前にある大量の激辛フィッシュカレーにもしゃもしゃと貪りついた。
痒さと辛さでもはや味覚はなくなっていた。この苦悩の中、次のような考えがふと頭をよぎった。
「これが修行中のブッダが味わった苦しみか」(そんなわけあるか)
フォートコーチン(コチ)の「シーガルレストラン(Seagull Restaurant)」
南インド・ケララ州のフォートコーチン(コチ)に滞在中、ネットで調べた情報を頼りに、ディナーを食べようと海沿いにある「シーガルレストラン(Seagull Restaurant)」にやって来た。
どうやら観光客に人気のレストランらしく、店内は海を眺めながら食事を楽しむ人たちで賑わっていた。
薄暗い店内からは対岸の島の明かりと港を行き交う貨物船が見える。
テーブルに座り、漁業が盛んなケララ州の名物であるフィッシュカレーとビールを注文した。
すると、店内にある魚を陳列しているケースから1匹の魚を選ぶよう店員に促される。
店員は「1人だからこの小さめのが良いんじゃない?」と勧めてくれたのだが、何よりも面倒くさがりの僕は骨が少ない魚をチョイスした。
辛いのが好きなので味付けはもちろんスパイシーだ。
フィッシュカレーの料金は600ルピー(約1,000円弱)と、一般的なカレーに比べると高額に感じる。
魚を選んだ後、席に戻ってキングフィッシャー(インドビール)を飲みながらフィッシュカレーが出てくるのを待つ。
南インド・ケララ州は蚊が多いので、レストランで食事をする際は蚊の対策が必須である。
このレストランも開放的な店内と言うこともあってかとにかく蚊が多かった。
こんな日に、よりにもよって日本から持参した蚊除けスプレーを使うのを忘れてしまった。おまけに短パンとサンダルなので刺されまくる。
とにかく痒かったので気を紛らわそうとビールをがぶがぶ飲んでいると、フィッシュカレーが運ばれてきた。
何となく嫌な予感はしていたのだが、日本の冬にみんなで囲むような大きな鍋に魚が丸ごと1匹入っていた。
魚は骨こそあったものの何等分かにカットされていて食べやすかったのだが、1人だとさすがに量が多く、食べても食べてもなかなか減らない。
店内はファンが効いていてそこまで暑さは感じなかったが、蚊に刺されまくりながら、辛いカレーをひたすら食べ続けると言う若干苦行のような状態になってしまった。
しかし肝心の料理の味は、日本人の好きな新鮮な魚にカレー、ライスの組合せなので美味しくないわけがない。
蚊に刺された痒みとカレーの辛みで意識がだんだんと朦朧としてきて味も分からなくなっていったが、勢いよく食べ進めてなんとか完食することができた。
まるで苦しみながらも試合に勝ったボクサーのような気分になりながら、勝ち誇った顔でお店を後にした。
それはともかく、味も雰囲気も悪くはなかったので、フォートコーチンのシーサイドレストランで海を眺めながら食事を楽しみたい方には「シーガルレストラン」はおすすめだ。
なお、虫除けスプレーは必ず忘れないようにしよう。忘れたら地獄が待っている。
住所と地図
Hotel Seagull, Calvathy Road, Fort Kochi, Kochi