大神島には犬が一匹いる。ゆりちゃん、8歳だ。宮古島行きの最終フェリーで観光客はみんな帰ってしまったので、フェリーが出た後は退屈そうにしている。島ではあまり遊んでくれる人がいないそうで、遊んであげるとついてきてくれる。島の人たちよりも観光客に慣れているかもしれない。
最終のフェリーが出て、島はより一層静かになった。夕日を見るために西側外周道路を歩くことにした。港から西側外周道路を少し歩いたところに大神島唯一と言えるビーチがある。外周道路が出来る前は、かなり大きな砂浜だったそうだ。
西側外周道路の島側では、道路の下を通って海から入ってくる水がまるで池のようになっており、両側に美しい景色を楽しむことが出来る。人工的ではあるが、大神島独特の景色だ。人が少ないだけあって、海の透明度が高い。
西側外周道路は結構長い。1kmくらいあるだろうか。フェリーで帰る人は、港までの帰りの時間も把握しておく必要がある。この日歩いていたのは午後5時頃であるが、この時間になるとかなり水位が高くなり、水しぶきがかかることもしばしば。このままだと道路がなくなって帰れなくなるんじゃないかと思うほどだ。
海では奇石(ノッチ)を見ることが出来る。もともとは地表から転がり落ちた岩らしいが、波による浸食によって少しずつ根元が削られていくようだ。この時間帯は水位が高く根元が隠れている。ちなみにノッチ(notch)とは、英語で刻み目や窪みを意味する。ノッチと聞くとついオバマのものまね芸人を思い浮かべてしまうが、全く関係ない。
西側外周道路も行き止まりとなっている。諸説あるが、大きな岩があるので工事を進めることが出来なかったらしい。終点の道路が崩壊しているのは、大神島に来た当初は呪いだと思っていたのだが、どうやら台風によるものらしい。
波打ち際では、蟹の姿を多く見ることが出来る。この時間帯は海の水がかなり道路まで入ってきており、滑りやすくなっているので気をつけた方が良い。
夕日をゆっくりと見ることが出来るスポットを探すために、西側外周道路を戻ることにした。西側外周道路は全て西を向いているので、どこからでも夕日を見ることは出来ると思う。港や遠見台から見る夕日も綺麗だろう。結局港近くの砂浜まで戻り、のんびりと腰を下ろして夕日を眺めることにした。
冬期は大神島発の最終フェリーが午後4時20分なので、住んでいる人を除いて、島に泊まった人しか大神島の夕日を見ることが出来ない。この日は天気が良く、宮古島の西平安名崎の向こうに沈む夕日を綺麗に見ることが出来た。
神の島・大神島での宿泊体験 Vol.5~孤独な犬のゆりちゃんと大神島の静かな夜~に続く