多良間島滞在2日目。昼食を食べて一休みした後、多良間空港にあるカフェ「ヘミングウェイ」のマスターがおすすめしていた塩川御嶽(しおかわうたき、シュガーウタキ)と御嶽へと続くフクギ並木に行ってみることにした。
前回の記事:日本で最も美しい村・多良間島の集落を歩き、八重山遠見台からふる里海浜公園へ
塩川御嶽とフクギ並木は集落の東にある。
集落を東へ向かって歩く。案内版などは出ていないので、地元のおばちゃんたちに聞いてみると、親切すぎるくらい丁寧に教えてくれた。やることが少ない小さな島では時間と心に余裕が生まれるのだろうか。
「都会の人は何故あんなに忙しいのだろう?」と、ふと思った。家賃や食費などの高い生活費、そして取るに足らない娯楽のせいだとしたら、余りにも虚しいではないか。
おばちゃんたちの案内に従ってさらに東に歩を進めると、多良間島には珍しいスナックが集落の外れにあった。
ここから人気のない道をさらに真っ直ぐ進んでいくと、左手にフクギ並木の入り口がある。
塩川御嶽への参道として整備されたこのフクギ並木は、入り口から約650メートルほど続く。
フクギ(福木)は多良間島の村木であり、防潮、防風、防火林として多良間島の様々な場所に植えられている。
フクギ並木を進んでいくと、右手には牧場があり、近くでは行く手を遮るように黒い犬が遠吠えをしていた。牛を守っているのだろうか、それとも御嶽の番犬だろうか、超怖い。
黒い犬はこちらを見ながら吠えてくる。戦闘態勢万端で、「何としてもこの先には行かせない」というオーラを感じる。遠目からだと鎖に繋がれているか否かも分からないし、辺りには人の気配もしないので、フクギ並木に平行して伸びる道路に迂回して進むことにした。僕は旅行中、何度か犬に追われたトラウマがあるのだ。
黒い犬から距離を取って歩き、再びフクギ並木に戻る。当たり前と言えば当たり前だが、どうやら犬は鎖に繋がれていたようである。
しばらく歩くと塩川御嶽にたどり着いた。昔、村に住んでいた百姓が、霊石2個が飛んできてこの地に鎮まったのを見てこの御嶽を建てたと伝えられている。御嶽(うたき)とは、神が訪れるとされている沖縄の聖地のことだ。
御嶽の周囲には、フクギ、イヌマキ、テリハボク、リュウキュウコクタンなどの木々が生い茂っており、神秘的な雰囲気を醸し出している。
音のない中木々に囲まれていると、心が穏やかになっていくのを感じる。
多良間島では観光スポットらしい観光スポットはなく、自然を楽しみながらのんびりと過ごすのがメインとなる。美しい珊瑚礁の海が広がるビーチも良いが、木々や史跡を楽しみたい方には塩川御嶽はおすすめの場所だ。
なお、余談であるが、前回の記事で紹介した八重山遠見台公園と合わせて、この塩川御嶽では不思議なパワーを感じた。大木が作り出す荘厳な雰囲気のせいかもしれないが、パワースポットが好きな方は是非訪れて見て欲しい。
多良間島・三ツ瀬公園(みつせこうえん)から島の東側のビーチを徒歩で巡るに続く