今回はセナド広場の北、マカオ半島中心部から北部にある世界遺産、㉑聖ポール天主堂跡~㉚ギア要塞(ギア教会とギア灯台)までをご紹介したい。番号はガイドブック『世界遺産の街 マカオ 日本語版』記載の通りだ。
なお、セナド広場から南(マカオ半島南部)にある世界遺産、①媽閣廟~⑬セナド広場までとマカオの世界遺産一覧に関しては以下の記事を参照して欲しい。
セナド広場周辺の世界遺産、⑭三街会館(關帝廟)~⑳聖ドミニコ教会までは以下の記事を参照して欲しい。
セナド広場を抜け、聖ポール天主堂跡へと続く参道である大三巴街を北に歩くと、㉑聖ポール天主堂跡(Ruins of St. Paul’s)と㉒イエズス会記念広場(Company of Jesus Square)がある。大三巴街には土産物屋や飲食店が立ち並び、人通りも多い。
セナド広場と並んでマカオを代表する世界遺産である聖ポール天主堂跡は、1602年から1640年の間に建てられた聖母マリア教会のファサードの部分だ。ファサードとは建物の正面部分を意味する。1835年の火事によって、ファサード、基礎部分の大半とファサード前の階段を残して建物は焼失してしまったようだ。
聖ポール天主堂跡の前には、イエズス会記念広場がある。ここから見る天主堂跡も素晴らしい。
聖ポール天主堂跡から少し北(聖ポール天主堂跡の裏側)に歩くと、㉓旧城壁(Section of the Old City Walls)と㉔ナーチャ廟(Na Tcha Temple)がある。
旧城壁は、1569年頃からポルトガル人によって築かれた城壁の一部だ。昔、マカオの市街地区はこの城壁に囲まれていたようだ。
旧城壁の隣にあるナーチャ廟は、1888年に当時蔓延していた伝染病を鎮めるために建てられたものだ。小さな廟で、天主堂跡に比べると観光客も少ない。
次の㉕モンテの砦(Mount of Fortress)は、聖ポール天主堂跡から東に歩いたところにある。ガイドブックの番号通りに紹介するが、先に㉖カモンエス広場周辺の世界遺産を見た後に訪れた方が効率的かも知れない。
モンテの砦は、1617年から1626年の間に建てられたもので、昔は祭壇として使われていたが、ポルトガル人によって砦に改造された。
モンテの砦には現在マカオ博物館があり、入場料は大人が15パタカで、火曜日と15日は入場料が無料のようだ。この日は偶然にも15日(しかも火曜日)だったので、無料で入ることができたのだが、マカオの歴史や文化に余程興味がある人を除いて、時間に余裕が無ければ正直入らなくても良いと思う。
モンテの砦の展望台からはマカオの街並みが一望できる。
聖ポール天主堂跡の周辺から、花王堂街を歩いて北に行くと、㉖カモンエス広場(Camões Square)、㉗カーサ庭園(Casa Garden)、㉘プロテスタント墓地(Protestant Cemetery)、㉙聖アントニオ教会(St. Anthony’s Church)がある。こちらもガイドブックの番号通りに紹介するが、花王堂街を歩いて行くと最初に目にするのは聖アントニオ教会だ。
世界遺産に囲まれたカモンエス広場は地元の人たちの憩いの場で、奥には緑豊かな公園がある。聖ポール天主堂跡から少し歩くためか、観光客の姿はあまり目にしない。ちなみに、カモンエスとはポルトガルの詩人の名前らしい。
カモンエス広場の隣にはカーサ庭園がある。元々はポルトガル人の富豪、マヌエル・ペレイラの別荘として1770年に建てられたものらしい。庭園にある建物の中はギャラリーになっていて、絵画が展示されていた。ギャラリーには警備員を除いて人がおらず、涼みながらゆっくりと絵画を眺めることができた。
カーサ庭園の隣にはマカオ最初のプロテスタント墓地がある。
カモンエス広場から通りを渡ったところにある聖アントニオ教会は1558年から1560年の間に建てられたマカオで最も古い3つの教会の1つ(他は聖ローレンス教会と聖ラザロ教会)で、多くのポルトガル人がここで結婚式を挙げ、花がいつも飾られるので「花王堂(花の教会)」と呼ばれるようになったそうだ。
マカオに30個ある世界遺産の最後は、他の世界遺産からは少し離れたところにある㉚ギア要塞(ギア教会とギア灯台)(Guia Fortress)だ。
ギア要塞(ギア教会とギア灯台)には徒歩で行ったのだが、初めてのマカオということもあって、街中を散々さまよったあげく、ギア要塞へと続く道を間違えて要塞の周りにある公園をひたすら歩き、ここに来るだけでかなりの時間(2時間くらい)を費やしてしまった。
さらに、閉館時間を過ぎていたためか中に入ることができず、教会の姿を見ることはできなかった。ギア要塞とギア灯台を外から見ただけである。
ギア要塞は1622年に建てられたもので、マカオで一番標高が高いところにあるため景色は良いのだが、その分周辺には坂道も多い。苦労してたどり着いた割には普通の灯台でがっかりした(中に入れなかったのもあるけれど)ので、ギア要塞にはタクシーで来るか、時間に余裕が無ければパスした方が良いだろう。いずれにせよ夕方(教会は午後5時まで)には閉まるようなので、早い時間に訪れることをおすすめする。
若干駆け足になってしまったが、「マカオ歴史市街地区」を1日で歩いて見て回ることができた。いくつか見逃したものもあるが、30個ある世界遺産の中でも特におすすめの世界遺産は、やはり有名なセナド広場と聖ポール天主堂跡である。他にはいくつかあるクリーム色の教会も印象に残っている。
マカオでの滞在が短いのであれば、セナド広場と聖ポール天主堂跡を訪れ、後は周辺にある教会を見ておけば十分に満足できるだろう。
真夏の暑さの中マカオの街を歩き回ってヘトヘトになったので、ギア要塞周辺を走っていたタクシーを捕まえて、ホテルへと戻ることにした。マカオの世界遺産巡りの旅もひとまずこれで終わりである。
参考文書
『世界遺産の街 マカオ 日本語版』