香港と言えば100万ドルの夜景である。香港滞在中に夜景は見ておこうと思っていたのだが、「シンフォニーオブライツ(英語表記:A Symphony of Lights)」というイベントがやっているそうなので、せっかくなので見てみることにした。
「シンフォニーオブライツ」は光と音のレーザーショーで、「世界最大の永続的な光と音のショー」としてギネス世界記録にも認定されているらしい。開催場所は九龍半島と香港島の間にあるビクトリアハーバー周辺で、開催時間は毎日午後8時より約13分間だ。なお、雨でも開催されるようだが、天候次第では中止になることもあるらしい。
しかし、ネットで下調べをしていたところ、なぜか「しょぼい」というキーワードが目に付く。「光と音のショー」なんかにはあまり興味のない僕ではあるが、「しょぼい」と言われると逆に見たくなるではないか。
「シンフォニーオブライツ」は九龍半島と香港島の両方から見ることができるようだが、僕のホテルは九龍半島にあるので、今回は九龍半島側の有名な観賞スポット、尖沙咀(チムサーチョイ)プロムナードから見ることにした。
尖沙咀プロムナードへの行き方だが、九龍半島からだと彌敦道(ネイザンロード)を真っ直ぐ南に歩けば良い。突き当たりが尖沙咀プロムナードだ。電車を利用する場合、最寄り駅は尖沙咀駅となる。僕はこの日、九龍半島の油麻地(ヤウマテイ)にあるホテルを午後7時過ぎに出発し、彌敦道から徒歩で尖沙咀プロムナードへ向かうことにした。
尖沙咀プロムナードに到着したのは午後7時半くらい。ショーが始まる30分前だが、もうすでに沢山の人が集まっていた。
海沿いの遊歩道を歩き、どこか良い観賞スポットはないかと探していたところ、偶然にも場所が空いたので、他の人にならって、手すりの上に腰掛け「シンフォニーオブライツ」の開始を待つことにした。
尖沙咀プロムナードから見る香港島の夜景は綺麗で、この夜景を見るだけでも来る価値はあるだろう。これがいわゆる100万ドルの夜景だろうか。「シンフォニーオブライツ」を見るクルーズツアーをやっているのだろうか、港には大きな船の姿もあった。
「一体、どれほどのしょぼさなのか」とわくわくドキドキしながら、ショーの開始を待つ。午後8時きっかりに、音楽が鳴り始め、香港島のビルのイルミネーションが点滅し、ビルからレーザーが放たれる。
しかし、レーザーはちょろちょろ出るだけである。注意して見ていないと気付かない程だ。Google検索の画像やガイドブックの写真にあるような派手なレーザーは出てこない。音楽もなんだか古くさく、盛り上げようとしている感があるが、盛り上がっていない。参加しているビルは頑張っているのだろうが、これだけ有名にされたあげく、がっかりされるとなんだか気の毒である。
地味なショーであったが、個人的には線香花火のような素朴感があって好きだ。大々的に宣伝して音楽に合わせてやるのではなく、こっそりやると情緒があって、「あ、今ビルからレーザーが出たよ。見た?」などと盛り上がるのかもしれない。
いずれにせよ、僕は元々香港島の夜景を見るのが目的だったので、夜風に当たりながら夜景を満喫し、満足して帰路についた。「シンフォニーオブライツ」にはあまり過度な期待はせず、夜景を見るついでに見るくらいが丁度良いのかもしれない。