日本の京都と同じく、古都チェンマイと言えばやはり寺院である。旧市街地にも数多くの寺院があるが、そのほとんどは約2年前に訪れたので、今回は、前回訪れることができなかったチェンマイを代表する寺院「ワット・プラタートドイステープ(Wat Phra That Doi Suthep)」に行ってみることにした。なお、「ワット・ドイステープ」という通称もあるらしい。
1383年にクーナ王によって建立された寺院である「ワット・プラタートドイステープ」は、チェンマイ市街地から約16km離れた標高1,080mのステープ山の頂上にある。
「ワット・プラタートドイステープ」までの行き方(アクセス)だが、どうやらソンテウを利用するのが一般的なようである。天気予報はいつも通り雨が降りそうだしどうやって行こうかと思案していると、ホテルを出たところにタクシーが停まっていたので値段を聞いてみることにした。混雑状況によっていくらになるか分からないとの回答だったので、メーターで利用することにした。
タクシーの運転手はフレンドリーで親切なおじさんで、頼んでもいないのに運転中ずっとカタコトの英語でガイドをしてくれる。道中、市街地を抜けたところにある「ワット・スアン・ドーク(Wat Suan Dok)」に寄ってくれた。こちらも1383年にクーナ王によって建立されたもののようだ。今回の目的地である「ワット・プラタートドイステープ」と何か関係があるのだろうか。
「ワット・スアン・ドーク」を後にし、チェンマイの市街地を抜けてタクシーは山道に入る。山道では観光客を乗せた赤いソンテウ(ちなみにタクシーと同じくISUZUである)の姿をよく目にした。トゥクトゥクでは山道は登れないようなので、ソンテウで山道を登っていくのが一番安上がりな方法だと思う(歩いても良いけど)。
山道の途中で、チェンマイ市街地が一望できる展望台に立ち寄った。展望台には観光客が多く、屋台や土産物屋なんかが軒を連ねている。
展望台を後にし、しばらくクネクネとした山道を登ると、「ワット・プラタートドイステープ」の麓に到着した。
ちなみにタクシー料金だが、チェンマイ市街地から少し寄り道して「ワット・プラタートドイステープ」に到着したときのメーターは約230バーツとなっていた。僕はこの後、さらに山奥にあるモン族の村「バーン・ドイ・プイ(Baan Doi Pui)」に行くことにしたので、市街地から「バーン・ドイ・プイ」までの往復で合計900バーツでタクシーをチャーターすることにした。この金額が安いのかどうかは分からないが、メーターと距離を見て計算するとぼったくりというわけでもなさそうだ。
寺院の麓からは、両サイドをナーク(蛇神)に守られた長い階段を上っていく。僕は利用しなかったが、ケーブルカーで登ることもできるようだ。階段を上り、入場料金(確か30バーツだった)を支払って寺院の中へ入る。
「ワット・プラタートドイステープ」の一番の見所である黄金の仏塔がある回廊に入る前に、寺院の中を散策してみることにした。様々な仏像があるが、日本のものよりも色彩が豊かだ。
寺院からはチェンマイ市街地が一望出来るが、スモッグに覆われていて、ぼんやりとしか見渡せなかった。白い煙に覆われた山の上の寺院というのはどこか神聖な雰囲気がある。これが有害なものじゃなかったら良いんだけど。
周りを一周してから、土足厳禁の回廊に入ることにした。雨季のチェンマイでは毎日のように雨が降り、足元は茶色い水でベチョベチョになっていたので少し躊躇したが、せっかくここまで来たのでサンダルを脱いで裸足になり、黄金の仏塔がある回廊へ入る。タイの格式高い寺院ではよくあることだが、回廊に入るには短パンや露出度が高い服装はNGなので気を付けよう。
回廊の入り口には蓮の花とろうそくの参拝セットが置いてある。料金は決まっていないようだ。どうやらこの参拝セットを持って回廊を3周して祈りを捧げるのが正しい参拝方法らしい。
回廊では、これでもか、というほど数多くの黄金の仏像が出迎えてくれる。僕の好きなエメラルドブッダにスリーピングブッダまでいる。ブッダファンからすればたまらない光景である。
僕は仏教徒ではないのだが、仏像を見て、そしてブッダのことばを読むと癒やされるのだ。煩悩が多い僕は、ブッダが生きていた時代であれば迷わずブッダに弟子入りしていたことであろう。
回廊の中心にある高さ22mのチェディ(chedi)と呼ばれる黄金の仏塔には仏舎利(ブッダの遺骨)が納められているそうだ。普段建物を見てもあまり感動しない僕であるが、数多くの仏像に囲まれたこの美しい黄金の仏塔にはグッとくるものがあった。さすが古都チェンマイを代表する寺院だけある。
回廊を見て回った後、寺院を出て、カフェで一息ついてから階段を下りる。タクシーの運転手に電話して迎えに来てもらい、次はモン族の村「バーン・ドイ・プイ」へ向かう。
チェンマイの山岳民族・モン族の村「バーン・ドイ・プイ」から「プーピン宮殿」へに続く