タイのチェンマイにやって来た。チェンマイを訪れるのは約2年振りだ。日本が夏の今、タイは基本的に雨季なのであるが、この時期になると何故かタイを訪れたくなる。
毎年恒例の7月初旬に行われる司法書士試験が終わった直後で、身体的にも精神的にも疲れが溜まっており気分転換に旅行をしたい時期なのだが、初めての国に行くとどうも疲れてしまう。ついつい日本からも近くて住み慣れたタイを選んでしまうのだ。
そんなわけで、日本では梅雨が明けようというのに、雨季真っ只中のチェンマイに来てしまった。日本では連日35度前後の猛暑であるが、山間部にあるチェンマイの気候は過ごしやすく、ここ最近の最高気温は30度前後、最低気温は24度前後である。大阪の梅雨のようにジメジメとした暑さはなく、雨も降ったりやんだりである。
チェンマイには大阪からAirAsia(エアアジア)を利用してやって来た。日付が変わる直前に関西国際空港(関空)で飛行機に乗り込み、バンコクのドンムアン空港に到着するのは翌朝の午前3時30分頃(日本より2時間早い現地時間)だ。

関西国際空港(関空)
僕は関空から海外に行く際は、出国手続きを済ませる前によく関空第1ターミナルの2階にある「たこ昌」で明石焼を食べる。「大阪出るとき連れてって~♪」のCMでお馴染みのたこ昌である。ひょっとするともう二度と関西のソウルフードを食べることはないかもしれない。そんなことを思いながら、弾力があるタコが入った明石焼を一つずつ噛み締める。

関空第1ターミナルにある「たこ昌」

明石焼とビールのセット
エアアジアではお馴染みの最前列(プレミアムフラットベッドを除く)の「ホットシート」を予約した。ホットシートはプレミアムフラットベッドほど高くなく、優先搭乗で座席も広いので気に入っている。しかし、年を取ったこともあってか、なかなか寝付けない夜間のフライトはだんだんきつくなってきた。次回はプレミアムフラットベッドを予約してみようかしら。

AirAsia(エアアジア)のホットシート
バンコクのドンムアン空港で入国手続きを済ませ、国内線に乗り換えチェンマイに向かう。以前来たときはバンコクで一度スーツケースをピックアップしなければならなかったが、その必要はなくなっていた。
余談であるが、ドンムアン空港の入国手続きはいつも通り長蛇の列が出来ていて、1時間半程度待たされた。列に並んでいると、進みの早い列と遅い列があって、隣の進みの遅い列から割り込んでくる数人の若い女性がいた。長時間並んでいる人たちを無視して、次々に前方に割り込んでくる。毎度の事ながら、あの国の人だろうか・・・と思ったが、いや、決めつけはよくない、冷静に判断しよう・・・と、そう思って割り込んでくる人たちのパスポートを見てみると、そこには「中華人民共和国」の文字。「そりゃ決めつけられるわ」と思わず自分で自分にツッコミを入れてしまった。
一部の例外を除いて、ほとんどの国の人たちは黙って列に並んでいるというのに何故この人たちは平然と割り込むのだろうか。1時間半並んで、もうすぐ僕の番だというところで目の前に割り込もうとしてきたので、ブロックして塞いでやった。ざまーみろだ。
割り込んできた若い中国人女性たちは、僕のすぐ後ろに並んでいた台湾人か香港人らしき人たちにも注意されていたようだ。同じ民族でこうも人格が変わるのだとしたら、教育って怖い。ちなみに、入国手続きでは(外国人枠の)向かって一番左の列に並ぶことをお勧めする。
眠い目をこすりながら、午前8時頃チェンマイに到着。空港のタクシーカウンターでタクシーを予約してホテルへと向かう。空港から市街地にあるホテルまでの料金は150バーツだった。

チェンマイ市街地

ターペー門
アーリーチェックインが出来なかったので時間を潰してから午後2時頃にチェックインし、一眠りしてから夜にホテル近郊を散策してみる。今回滞在した「ホテル マンサ(Hotel Montha)」は偶然にも以前泊まったホテルから近く、ムエタイリングがあるバービア群の近くにある。

バービア群にあるムエタイリング
バービア(またはビアバー)とは日本で言うとガールズバーのようなものだ。チャージ料金はなく、飲み代(ビール1本100バーツもしない)だけですむ。スタッフのお姉さんたちに奢らないといけないわけではないが、しつこくおねだりされるバーもあるので、カモにされる前に逃げよう。お姉さんたちの飲み物は若干高い。
タイには西洋人旅行者が多いこともあって、バーの店員は簡単な英語が話せる人が多いが、特に地方都市では日本語はほとんど通じないと思った方が良いだろう。お姉さんたちに奢って、仲良くなったらどうなるかは知らない。
バービアで寝起きのビールを1本飲み、昔よく利用した近くのロイクロ通りにある屋台で晩ご飯をいただく。定番のレッドカレーにライス。本場の屋台で食べるタイ飯は何故こんなにも美味いのか。あまりの懐かしさにパッタイまでいただいてしまった。

レッドカレー、ライスとシンハービール

パッタイ
屋台のおじさんに「日本人か?」と聞かれ、何故か前の客が席に忘れていった虫除けスプレーをもらった。これは刑法上の「占有離脱物横領罪」に当たるのではないだろうか?いや、占有は店主に移動しているから勝手に取ったら「窃盗罪」になるが、店主の許可があるから犯罪は構成されず不可罰か・・・と、そんなことを日本人らしい固い頭で考えていたが、タイ人である店主はそんなこと気にしていないようだ。マイペンライで貰って帰ることにした。チェンマイは蚊が多いし役に立つことであろう。
昼寝をしてもまだフライトの疲れが残っていたので、食後はバーでビールを何本か飲んで早々にホテルに戻ることにした。日本人の姿はそれほど見かけなかったが、西洋人のおじさんが多く、フレンドリーで話しかけてくる人もいる。話しかけてきた2人はいずれも英語が堪能なドイツ人だった。タイは英語をブラッシュアップするのにももってこいの国だ。
本場のタイ料理とビールを堪能し、英語を話して旅行気分を味わい、満足して帰路につく。日本にいるときよりも、遙かに人と話しているような気がする。やはり旅行は良いものだ。しとしとと降る雨を背景に、チェンマイ1日目の夜が過ぎて行く。