大阪中之島美術館で開催されている『没後50年 髙島野十郎展』を訪れた。
髙島野十郎(1890 – 1975)は、福岡県久留米市出身の洋画家だ。実はこれまで名前を聞いたことがなく、本展示会も軽い気持ちで訪れたのだが、予想を良い意味で裏切る展示会だった。
日本人の洋画家と言えば、黒田清輝、藤田嗣治、佐伯祐三、岡本太郎などが有名だが、髙島野十郎はこれまでに作品を見た日本人の洋画家の中では一番好みかもしれない。
大阪中之島美術館は、JR福島駅から徒歩10分程度(ちなみに最寄り駅は中之島駅)。開業して約4年になる新しい美術館だが、これまでに見応えのある展示会をいくつも開催していて、もう何度も訪れている。
京都にある大山崎山荘美術館にもよく訪れるが、関西の美術館の中では中之島美術館の雰囲気が一番好きかもしれない。
日本人の描く油絵は黒を多用する画家が多いせいか、どうも西洋の画家に比べると暗いイメージがするのだが、髙島野十郎の絵画は色鮮やかなものも多く、西洋の有名画家と比べても遜色ない。
作品を眺めているとまさに天才という言葉を連想させる画家だが、どうも知名度が低いせいか、平日の昼間とはいえ、160点超を展示する大規模展示会なのに訪れている人は少なかった。
最近開催されたゴッホ展や京セラ美術館の西洋絵画展なんて、平日にもかかわらず梅田の地下街並みに混雑していたもんな。
髙島野十郎はゴッホに大きな影響を受けたらしく、ゴッホを連想させる絵画もいくつかある。
また、傾倒した仏教やモネの影響を感じさせる絵、愛したリンゴの絵、独身で孤高の画家というステータスなど、完全に僕のツボに入っている。
この日はまだ5月だというのに外は30度近くで蒸し暑かったが、美術館の中の静寂さとひんやりとした空気は心を癒してくれる。
最近はクラシック音楽を聴きながら展示会を巡ることが多いが、ピアノの音色を聴きながら作品に近づいたり遠ざかったり椅子に座ったりしてボンヤリと絵画を眺めている時間は、仕事と勉強ばかりで消耗する大阪の生活の中で数少ない非日常的な幸せを感じられる瞬間だと思う。
しかし、最近は作品の横にある解説を読むのが苦痛になってきて絵だけを眺めていることが多いんだけど、絵と文章って絶対相性悪いと思うんだよなぁ。
髙島野十郎の代表作は月や蝋燭を描いた作品だが、西洋の画家とは違う、仏教を愛した日本人らしい静謐さを感じる。
展示作品数が多くて2時間でも3時間でものんびりと作品を眺めていたかったが、この日は谷町四丁目で研究会があったので足早に回ってタクシーで美術館を後にすることにした。
この日の夜、美しい作品で癒された心が、人間関係で嫌なことがあり汚された気になって西洋に逃げたくなったのだが、これからは仕事の前に美術館に行くのはやめようかな。
『没後50年 髙島野十郎展』、良い展示会でした。来月は京セラ美術館で開催されるテート美術館展を訪れる予定です。



