春の京都、京セラ美術館で西洋に逃げたくなった

すっかり春の陽気で、最近は仕事にも余裕が出てきたので美術館を訪れる機会が増えてきた。先週は、京都市京セラ美術館で開催されている『⻄洋絵画400年の旅―珠⽟の東京富⼠美術館コレクション』を訪れた(参考:公式サイト)。

京都市京セラ美術館は、地下鉄東山駅のすぐ近くにある。いつもJR山科駅で地下鉄に乗り換えて行くのだが、高槻からだと読書をしているとあっという間に到着し、京都が身近にあることを再認識させられる(普段、仕事で京都を訪れる機会はほとんどない)。

京都の枝垂れ桜はもう葉桜になっていたが、ソメイヨシノはまだまだピンク色だ。

水路沿いの桜

水路沿いの桜

京セラ美術館は建物に無機質な匂いがするからか、それともいつも人が多いせいか、あまり好みの美術館ではないのだが、西洋絵画の大きな展示会をたまにやっているので度々訪れる。

京セラ美術館

京セラ美術館

この日は平日の昼間で、平安神宮の赤い鳥居の周辺は外国人観光客を中心に人影がまばらにある程度だったが、美術館の内部はそれなりに混雑していた。ひょっとすると、中高年の団体ツアーにでも組み込まれているのだろうか。

訪れる前は、好きな画家の作品も少ないし正直そこまで期待はしていなかった展示会だったのだが、その期待は良い意味で裏切られた。

『⻄洋絵画400年の旅』とテーマにあるように、数百年前のヨーロッパの風景画や人物画は、当時のヨーロッパにタイムスリップしたような錯覚を起こさせてくれる。あぁ、僕がコロナ禍で西洋絵画にハマったのも、海外を旅している気分にされてくれるからだったんだ。

壁に多数の大きな絵画が飾られているだだっ広い部屋の中央あたりに佇み、クラシック音楽を聴きながら絵画を眺めていると、なんとも言えぬ幸福感が押し寄せてきた。

パリや南仏に滞在して制作活動に励んでいた当時の画家の生活に思いをいたすと、果たして自分の人生はこのままで良いのかと思えてくる。

大阪で他人の法律問題に関わって消耗するよりも、僕は海外を巡りながら絵を描いたり文章を書いたりする生活の方が向いているのかもしれない。

本展示会を代表する作品は、ナポレオン・ボナパルトの絵画だ。歴史的には価値がありそうな絵画だが、単純に油絵としてはそこまで惹かれるものではなかった。

ゴッホ、モネ、ルノワール、モディリアーニなど巨匠の作品も展示されているが、数は少なく、本展示会を構成する多数の作品のごく一部に過ぎない。

ゴッホの『鋤仕事をする農婦のいる家』はなんだか地味だし、モネの『睡蓮』も、大山崎山荘美術館に展示されているものに比べれば、あまりインパクトを感じない。

しかし、ルノワールの『赤い服の女』は、本展示会で一番とも言えるほど素晴らしかった。ルノワールが描く優しい絵は、眺めていると幸せな気持ちになれる。

ルノワールの絵は、以前はそれほど惹かれなかったのだが、モネなど印象派の絵に触れるにつれて、徐々に好きになっていった作家だ。

気がつくと出口まで来ていたが、この日は時間に余裕があったし、後ろ髪が引かれる思いだったので、入口まで戻って再び全ての作品を見直すことにした。

絵画と言うものは、旅先の風景などと同じで、小難しい解説などは読まずに、何も考えずにぼんやりと眺めて幸せを感じればそれが一番だと思う。

美術館を後にして、昼食を取ることにした。

東山駅の近くに、明日香という定食屋さんがあるのだが、京セラ美術館を訪れた際は、いつもここで天ぷらを食べることにしている。

座敷席がある京都の昔ながらの定食屋といった雰囲気だが、天ぷらがサクサクで美味しく、しかも京都の一等地にもかかわらず彩り天丼が1,200円(ビールの大瓶が800円)という破格の値段だ(高槻の駅前では、いつもの昼食でもこのくらいの値段はする)。

外国人観光客も多く、店員が英語対応していたり、QRコードで注文できるようになっているのには時代を感じるが、それでも店内の良い雰囲気はまだまだ変わらない。

京都の桜、老舗定食屋の天丼、そして京セラ美術館での西洋への旅は感動的なもので、京都への小旅行とも言える充実した1日だった。

『⻄洋絵画400年の旅―珠⽟の東京富⼠美術館コレクション』、絶対に訪れる価値のある展示会だ。