鹿児島で出会ったピアノとジンベエザメ ― アリス=紗良・オットのリサイタル

アリス=紗良・オットのピアノ・リサイタル@川商ホール

2024年9月に鹿児島を訪れた。

アリス=紗良・オットのピアノ・リサイタルが鹿児島市内で開催されたので、そのついでに鹿児島市内、種子島、屋久島を1週間ほどかけて観光することにした。

鹿児島県はそれまで与論島しか訪れたことがなく、鹿児島市内も初めてだが、西郷隆盛、桜島、芋焼酎や黒豚くらいしか知らない。

鹿児島市内の西郷隆盛像。犬が絶妙

鹿児島市内の西郷隆盛像。犬が絶妙

とりあえず、市内を散策してみることにした。さすがに南国だけあって、9月後半でもまだまだ日差しが強い。

日本の都道府県の県庁所在地はどこもそれなりに発展していて、あまり代わり映えしないとも思うが、幕末当時の薩摩藩は最先端を走っていたせいか、鹿児島市の街並みは西洋の影響を色濃く感じる。

ハネムーンで鹿児島を訪れた坂本龍馬夫妻

ハネムーンで鹿児島を訪れた坂本龍馬夫妻

実際に住むとすぐに飽きるのかもしれないけれど、コンパクトシティに点在するおしゃれな西洋風の建築物や、屋久島やトカラ列島を含む多くの離島への玄関口なのは魅力的で、住んでみたくなる都市だ。

せっかくなので、鹿児島港から出ている桜島行きのフェリーに乗ってみることにした。

桜島は噴火で陸続きになったものの、陸路だと大隅(おおすみ)半島をぐるっと回っていかなければならず、フェリーであれば鹿児島市内から15分程度でサクッと行ける。

桜島港フェリーターミナルのすぐ近くには、月の神・ツクヨミを祀った月讀(つきよみ)神社がある。

月讀神社

月讀神社

ツクヨミは、アマテラスの弟でスサノオの兄に当たるが、この2神がキャラが濃すぎるせいか、神話エピソードもほとんどなくて影が薄い。

月讀神社から鹿児島市内を望む

月讀神社から鹿児島市内を望む

桜島は想像していたよりもずっと大きく、海岸沿いの道路を歩いて展望所でも行こうかと思っていたものの、日差しが強く歩いていると汗がダラダラ流れてきたので、港近くにあるビジターセンターでアイスを食べてさっさと戻ることにした。

桜島を一周するには車や電動自転車がないとキツく、徒歩で巡るくらいなら対岸から桜島の雄大な景色を眺めている方が良いかもしれない(当たり前だが、桜島から桜島の全景は見えない)。

フェリーで鹿児島港に戻り、フェリーターミナルのすぐ近くにある水族館(いおワールドかごしま水族館)に行くことにした。

いおワールドかごしま水族館は、ジンベエザメがいることで有名だ。国内でジンベエザメが見られる水族館は、大阪の海遊館、沖縄美ら海水族館とここの3箇所しかない。

魚の群れに混じって泳ぐジンベエザメ

魚の群れに混じって泳ぐジンベエザメ

ジンベエザメが悠々と泳いでいる巨大水槽は圧巻だ。肺気胸になってからダイビングは止めてしまったけれど、昔はオーストラリアでジンベエザメを見ることに憧れてたんだよなぁ。

ウツボ

ウツボ

水族館は広くて他にイルカショーなどもやっており、地方都市の水族館とは思えないほど充実していて満足度が高い。

黒豚肉うどん

港を望むレストランでいただく黒豚肉うどん

夜には、アリス=紗良・オットのピアノ・リサイタルが開かれた市街地にある川商ホールを訪れた。

プログラムは、この翌年(2025年)に発売された『フィールド:ノクターン全集』に先立ち演奏された、ジョン・フィールドのノクターンとベートーヴェンのソナタである。

ノクターンといえばショパンが有名だが、実はアイルランドの作曲家であるジョン・フィールドが元祖らしい。

アリス=紗良・オットのピアノ・リサイタル@川商ホール

アリス=紗良・オットのピアノ・リサイタル@川商ホール

アリスさんは毎年のようにコンサートで日本を訪れているが、この年は、鹿児島以外には青森や新潟など、珍しく地方を巡回していたようである。

アリスさんのアルバムはクラシック音楽の発祥地であるヨーロッパでは1位を獲得するほどの世界的なピアニストなのだが、そのピアニストがわざわざ日本の片田舎を訪れて、しかも料金が3,500円(税込)というのは、もはやボランティアとしか思えない(しかも、空席がある)。

ピアニストは、他にグレン・グールド、坂本龍一、田中希代子などの演奏も好みだが、現役なのはアリスさんだけなので、来日したらできるだけコンサートに行きたいと思っている。

地方会場での小規模なコンサートらしく、終了後にはCD購入者へのサイン会があり、ついに念願である生アリスさんと会話をすることに成功した。

サインもらった。えへへ

サインもらった。えへへ

2025年にリリースされた『フィールド:ノクターン全集』は素晴らしいもので、2026年にリリースされた『ヨハン・ヨハンソン:ピアノ作品集』もそうだが、最近のアリスさんの演奏は、40近くになって落ち着いた選曲が多く円熟味を増しているように思う(ヨハン・ヨハンソンは坂本龍一に聴こえる)。

初の鹿児島市内の滞在は、西洋の面影が残る街並みも印象的だったが、川商ホールでのアリスさんのコンサートと水族館のジンベエザメが感動的だった。

トカラ列島の島々もいつか巡りたいし、また旅の出発点として鹿児島市を訪れることにしよう。

いおワールドかごしま水族館は必見

いおワールドかごしま水族館は必見