高松は雨である。
高松市美術館で川瀬巴水展が開催されているので、美術館を訪れついでに観光でもしようと約半年ぶりに香川県高松市を訪れた。
ところが、先週までの晴天とは打って変わって、爆弾低気圧が来ているようで、高松に到着した日から雨続きであった。
僕は偏頭痛持ちで、お酒をたくさん飲んだ後や、台風や大雨などで天候が悪化したときはとりわけ目の奥の左脳が痛くなるので辛い。
僕が住む大阪の地方都市にある高速道路のバス停から高松行きのバスが出ていて(ちなみに始発は京都)、ドアツードアで3時間程度でJR高松駅に行くことができる。
JR高松駅近くのホテルに到着したのはお昼の12時頃だったが、小雨が降っていて美術館も休館日だったので、チェックイン後にランチを取って軽く街でも散策しようかと思いホテルを出た。
JR高松駅前には、「めりけんや」という常に行列ができている讃岐うどんのお店がある。
それほど多くのお店で讃岐うどんを食べたわけではないので一概に比較はできないが、少なくとも大阪で食べる讃岐うどんよりも美味しくて値段も安く、比較的遅い時間まで開いているのでここで讃岐うどんを食べることが多い。
僕は釜玉うどんなどの汁なしうどんはあまり好きではないので、基本的にはかけうどんを注文する。

かけうどん、いなりと天ぷら
かけうどんにいなりまたはおにぎりのご飯もの、そして野菜のかき揚げなどの天ぷらを添えれば最高のランチである。
讃岐うどんは宮古そば(沖縄そばの一種)を凌駕するほどの中毒性があり、毎日のランチでも飽きなさそうだ。
昼食後、JR高松駅近くにある高松シンボルタワーを訪れた。
この高松シンボルタワーは四国で最も高い建築物らしく、29階に無料の展望スペースが設けられている。

展望スペースから瀬戸内海を望む
以前この展望スペースを訪れたときは、小汚い浮浪者が2人いて観光客にハラスメントをしていたのだが、この日はいないようであった。
山と瀬戸内海に囲まれてビルが建ち並ぶ高松市街地の風景は、どことなく港町の神戸に似ているかもしれない。

高松市街地の風景
この日は偏頭痛がするし、夕食までホテルに戻って休むことにした。
将来に引っ越しするとしたら有力な候補地の1つである高松市の印象は概ね良いのだが、市街地を歩いていると歩きスマホが目に付くのが残念だろうか。
まぁ、歩道は広いし人気も少なく、大阪とは違って邪魔にならないからみんなついスマホをいじるのだろうが、歩道を歩いているとたまに大通りから曲がってきた車が横から突っ込んでくるので油断はできない(おばあちゃんが運転する車に危うく轢かれそうになった)。
ホテルに戻って一休みした後、夕食には高松市美術館の近くにある「一鶴」という骨付鳥のレストランに訪れた。
香川県はうどん以外では鶏が人気らしく、駅前でも数多くの焼き鳥屋を見かける。
この「一鶴」は骨付鳥で有名らしいが、17時の開店前に訪れたところ、既に長蛇の列ができていた。
お店にはカウンター席がなく1人だと入りづらいような気もしたが、店員の対応は丁寧で、他にも観光客らしき1人客を何名か見かけた。

「一鶴」のメニュー
骨付鳥には「おやどり」と「ひなどり」があり、この日は歯ごたえが柔らかいらしい「ひなどり」を選択した。

「ひなどり」の骨付鳥とエビス黒生
「ひなどり」と言えばひよこみたいなサイズを想像してしまうが、なかなかに大きいサイズである。
お肉はジューシーで香ばしく、揚げているわけではないがフライドチキンの上位互換みたいな味わいである。

「一鶴」のメニュー。つまみも色々とある
「ひなどり」だけでもまぁまぁお腹は膨れるのだが、せっかくなので「とりめし」もいただいた。

「とりめし」とオーストラリアの白ワイン。サッパリとした味わい
ドリンクを2杯いただいたが会計は3,000円にもいかず、とてもリーズナブルだ。
実はこのお店はDMM英会話で徳島出身の日本人講師が「高松に行ったら一鶴に行け」と薦めていたので訪れたのだが、味付けはアラフォーのおっさんにはやや濃く感じられるものの、値段も味も十分に満足いくもので、また高松に来たら訪れたいお店である。
この日は偏頭痛が治まらず、コンビニでデザートとお酒を買って、早めにホテルに戻って休むことにした。
高松市滞在2日目、高松市美術館で川瀬巴水展を見た後、栗林(りつりん)公園を訪れた。
栗林公園は、高松市の街中にある国の特別名勝にも指定されている日本庭園である。

栗林公園の風景
徒歩で回ると1時間はかかる大きな敷地内には、高松市らしく多くの松の木が生息しており、池や茶屋などの日本式建築物があり風情がある。

掬月亭からの景色。抹茶や煎茶、和菓子を提供している

栗林公園では和船に乗ることもできる
入園料(大人410円)は必要だが、のんびりと散歩するには良い場所である。

鯉がたくさん集まってきたよ。エリコさん
栗林公園を訪れた後、高松駅前に戻り「めりけんや」でサクッと讃岐うどんの夕食を済ませ、夜には高松市街地にあるピアノバーを訪れた。
坂本龍一の『Merry Christmas Mr. Lawrence』やクラシック音楽などを弾いてもらいながら、ギネスと白ワインを楽しむ。

ギネスとコンタックとピアノ
ピアノバーの店員さんとも話していたのだが、どうも高松の人は京都の人のように裏表があるらしい。
確かに、高松の人は概して穏やかで親切な印象があるのだが、どこか微妙な距離感を感じる。
高松生まれで大阪育ちの僕が、もし高松に引っ越したとしたら受け入れてくれるのだろうか。
京都の人と接している時に感じるような煮え切らない何かを感じながらも、翌日は天気が悪くなかったら離島に行こうと思い、バーを後にしてホテルに戻った。