香川県の高松市美術館で2024年1月24日(水)から3月6日(水)まで開催中の「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」展を訪れた。
川瀬巴水(かわせはすい)は、大正・昭和期に活動した木版画家で、日本全国を旅して各地の美しい風景を作品にして「旅情詩人」と呼ばれた。
高松市美術館は高松市街地の中心部にあり、滞在していたJR高松駅前のホテルからは徒歩10分程度だ。
なかなか近代的な建物で、関西の美術館で開催されていないような興味深い展示会も開催されており、人気も少ないのでお気に入りの美術館の1つになっている。
受付で入場料の1,200円(高松だけに安い)を支払い、展示場となっている2階・1階のまずは2階から見て回る。
川瀬巴水の作品は写真で見て惹かれたものの、実際に生で見るのは(恐らく)初めてである。
残念ながら本展示会の写真撮影は禁止だったので実際の展示作品はご紹介できないが、代わりに美術館内に掛けられていたのぼりを載せておく。
木版画だからなのか、実際の作品は思っていたよりもサイズが小さく、概ねA4くらいのサイズである。
本展示会では、2階と1階にかけて川瀬巴水が生涯に渡って残した約180点もの作品が展示されている。
なんでも本展示会は高松市美術館開館35周年記念特別展らしく、高松市の意地を感じずにはいられない。
川瀬巴水の「日本全国を旅して各地の原風景を描いた」というまるで山下清のようなエピソードにも惹かれるが、今から約100年ほど前の日本各地の風景が色鮮やかに描かれているのはあまりにも見事で郷愁を誘う。
僕は基本的に油画が好きで日本の画家にはこれまでそれほど惹かれなかったのだが、川瀬巴水の色鮮やかな木版画は、西洋の著名な画家の作品にも負けず劣らず美しい。
こんな展示会は是非関西でもやってほしい、と思っていたら、どうやら昨年に京都の大丸でも開催されていたらしい。早く言ってくれよぉ。
川瀬巴水はアメリカなど海外からの人気も高く、かのスティーブ・ジョブズも彼の作品を気に入り来日時に何点か購入して帰ったらしい。
この日は平日の昼前ということもあってか、それとも高松市の常なのか、館内には人気も少なく2時間ほどかけてゆっくりと見て回ることができた。
その後、館内に設けられているミュージアムショップで、図録、ブックマーク(しおり)とクリアファイルを何点かお土産に購入。
お土産を購入した後、せっかくなので美術館内にあるレストラン(カフェ)でランチを取ることにした。
高松市らしいというべきか、京阪神の美術館内にあるお洒落なレストランとは異なりいかにも食堂といった雰囲気で(そもそも名前が「食堂&喫茶 たかまつ」だ)、メニューも街中の食堂にありそうなものばかりである。
この日はハンバーグとイカフライが入った日替わりランチをいただいた。
高松にいる間はせっかくなので讃岐うどんをランチにすることが多いが、香川県の食は野菜をふんだんに使って味付けも控えめにした健康的なものが多く(うどんを除く)、たまにはこういうランチも良い。
それはともかく、今回の高松旅行は本展示会を目当てにやってきたのだが、川瀬巴水の作品は思っていたよりも素晴らしく、わざわざ県外から訪れる価値のある展示会だった。