目次
はじめに
住んでいる街の市役所での法律相談員を務めてきた。
昔トラブルがあったときに市役所や法テラスでの無料法律相談を利用したことがあったけれど、まさか当時は自分が相談を受ける側にはなるとは思っていなかったわ。
初めての相談員で内心ドキドキしていたのだが、ベテランに比べて不足している経験や知識を補うために、とりあえず相談者の話をじっくりと聞いて同調することに力を注ぐことにした。
話を聞いてもらってスッキリすれば、悩みなんてある程度は解決しているものじゃないかと思っている。
相続登記の義務化が迫っていることもあってか予約は一杯で、次々に来る相談者に対応していく。
「先生、よろしくお願いします」
「今日はどうされましたか」
なんだか医者になったみたいだな、俺。
相談には人の死が絡んでくることが多いんだけど、医者と違うのは、相談者の人生まで深く関わっていくことだろうか。
他人の悩みや人生に触れていると、なんだか生老病死に思いが至らずにはいられない。
しかし、先生なんて呼ばれるのはなんだか照れくさいしあんまり好きじゃないな。
司法書士はもとより、弁護士や医者になるのもそれほど難しいこととは思わないし、他人を救うために身体を張っている人は尊敬するが、能力も人格も足りない人に限って先生なんて呼ばれて偉そうにしているからな。
それはともかく、トイレに行く暇もないほどひっきりなしに色々な相談が来たけれど、何とか無事に終えることができた。
予備試験の勉強をしていて知識が現役なのもあるのかそれとも生来の記憶力の良さもあるのか、焦ることもなく思ったよりも余裕だったなぁ。
後は、相談に来た人が満足して帰ってくれていれば良いけれど。
相談員は楽しかったし、法律家の仕事は意外と向いているのかもしれないなぁ。
『外科医、島へ 泣くな研修医6』中山祐次郎
女体よりも人体の解剖に興味があるサイコパス外科医(私見)・隆治。
外科医7年目で成長した隆治はサクサクと患者の腹を切り、今日も汚物にまみれた腹の中身を覗いて興奮しています。
そんなある日、都内の病院で働く隆治は半年間の任期で小さな離島の診療所に赴任することになった(羨ましい)。
そこでは隆治を含めて2人の医師しかおらず、外科以外にも内科はもちろん、精神科、小児科、産婦人科の患者も診ることになり隆治は戸惑い悪戦苦闘しながらも成長を続けていく。
悲しい過去を持つ離島出身の患者が絡む殺人事件も発生し、本作ではミステリー要素も入っている。
さらに、隆治には珍しく離島での恋もある。
大人気の『泣くな研修医』シリーズ第6弾、離島好きとしてとても楽しく読めました。
それにしても、やっぱり佐藤女医は格好良いなぁ。
サイコパス(私見)・隆治はもう良いから、主人公を佐藤女医に交替して欲しいわ。
『これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集』羽根田治
海や山などでのアウトドア活動において実際にあった死亡事故(または重症事故)の数々とそれらに対する対処法が書かれた一冊。
被害者には同情しながらも面白く読むことができたが、個人的に遭遇しそうなのは、山でクマやイノシシに遭遇する、落石が直撃する、海で飲酒後に泳いで死亡する、サメに襲われる、流される、シュノーケリング中に毒を持った生物に刺される、あたりかなぁ。
プロでもないのに、山で採れたキノコとか食べて食中毒になっているのは自業自得だと思ったわ。
都会育ちの僕には分からないけれど、田舎育ちの人には普通なのかな?
あれ?毒キノコ食べて食中毒になったケースは僕が育った高槻市の摂津峡が舞台じゃないか。
たまにイノシシにも遭遇するし、意外と身近に危険が潜んでいるんだなぁ。
『幸せジャンクション』香住泰
主人公の浜浦は50歳から10年間勤めていた運送会社が突然倒産し、社長から退職金代わりにキャンピングカーを譲り受けることになった。
職を失い途方に暮れていた浜浦だったが、偶然出会った足の悪い老婦人をキャンピングカーに乗せて関西から東京まで送り届けることになる。
暗い過去を持つ浜浦が贖罪とばかりに人助けをする、キャンピングカーでの旅と道中での出会いを描く心温まる物語。
『左脳さん、右脳さん。: あなたにも体感できる意識変容の5ステップ』ネドじゅん
そんなオカンが、潜在意識と繋がる方法をステップバイステップで教えてくれます。
「百聞は一見に如かず」と言う通り、潜在意識、宇宙やひらめきなどについて書かれたこの手の本は実際に体感してみないと半信半疑になるものだが、一度体感してみると驚くほどスッと入ってくるから不思議なものである(宮古島で潜在意識に繋がった中年男性談)。
それにしても、右脳だから頭の中の脳みそのことばかり考えていたけれど、腹に意識を集中するのが大事なんだな。
『中村天風 怒らない 恐れない 悲しまない』池田光
中村天風は自身がインドでの修行を通じて結核から回復した経験を元に「心身統一法」を生み出し、消極精神ではなく積極精神で生きることの重要性を説く。
僕は同じくインドやネパールで修行をしたブッダの言葉も好きなのだが、ブッダの教えはややもすれば概念的なのに対して、天風の教えは時代が近いこともあってか実践的であり、数多くの成功者が師事する理由も頷ける。
本書においても下腹部に力を入れること、そして肛門を締めることの重要性が示されている。
最近は天風哲学に惹かれて止まないのだが、インドやネパールで悟りを開く人が多いのでれば、僕もしばらく修行に行ってこようかしら。
『中高年ひきこもり』斎藤環
100万人を超えるとも言われる多くのひきこもりを生み出したのは、バブル崩壊後の就職氷河期やいつまでも低迷を続ける経済など日本社会の責任も大きいだろう。
僕も就職氷河期世代で、大したことがないとは言え大阪では一応トップの私大(関西医大や大阪医大など医大を除く)を出ているが、就職先がなくて仕方がなく正社員待遇のバーやラブホテルなど中卒でもできそうな仕事に就いた同級生もいる(僕は日本のサラリーマンに興味がなかったのでオーストラリアに逃亡した)。
どちらかと言えばインドア派で学校や会社での集団生活が苦手な人間としては、ひきこもりになる人の気持ちも分からないでもない。
IQ100前後の人間って、徒党を組んで障害者や自分たちよりIQが低い人間をいじめたり、優秀でも一風変わった人間の足を引っ張ったりするんですよ(いや、IQ100前後の数が多いからそう感じるだけかもしれず、これは人間の本性かもしれない)。
他人に迷惑をかけなければ好きなようにひきこもっていれば良いと思うのだが、将来的に生活保護を受給するようになると国の財政を圧迫するし、中には凶悪犯罪に走る人もいる(これはひきこもりに限らないが)。
せっかくのIT社会なんだから、就労支援で無理やり外に出すのではなく、プログラマーでもYouTuberでもゲーマーでも何でも良いから、ひきこもりは自宅で完結できる職業を目指した方が良いと思うんだよな。
あまり人ごととも思えない現代日本社会におけるひきこもりの実情に迫った一冊。