アフターコロナで読んだ本まとめ㉗

英会話

はじめに

今年から英会話スクールのNOVAに通い始めた。

所属している士業の会で国際法務の研究員を務めているのだが、今後は通訳を頼まれることも外国人の客とやり取りすることも増えそうだし、長らくサボっていた英会話を再開することにしたわけだ。

日本の士業は得てして外国語が苦手な人が多いようで、海外での生活経験もあり、翻訳家という一応英語のプロでもある僕はどうも期待されているようである(実は英会話が苦手なことがバレるとまずい)。

先日はNOVAでレベルテストを受けたのだが、ここ数年は英会話をロクにやらずコロナ禍もあって海外旅行にも行けていなかったが、昔取った杵柄と言うべきか、何とかレベル8(TOEIC900~・英検準一級~レベルらしい)のクラスに滑り込むことができた。

一番上のレベル9はTOEIC990・英検一級程度でネイティブとほぼ対等に話せるレベルらしいから、ブランクがあるにもかかわらずレベル8は上出来と言えるだろう。

しかし、去年まであまり英語を話す機会がなかったにもかかわらず、今週に入ってから連日NOVAで外国人に英会話レベルのチェックをされ、さらに在日外国人から会社設立の依頼があって電話や面談でほとんど英語でやり取りしているから縁というのは不思議なものである。

そんなわけで今週は英語漬けの日々でヘトヘトなのだが、久しぶりに感じる心地良い疲れでもある。

僕はそもそも脳みその凹凸もあって、サヴァン症候群の人が会話が苦手なように(そこまでの能力は有していないが)、英会話以前に話すのがあまり得意ではないのだが、やはり対面で英会話をすると脳みそが活性化して若くなるように感じる(バイリンガルの脳はボケるのが遅いらしい)。

今年は予備試験の学習と並行してなので忙しいのだが、久しぶりに英語熱も出てきたので、今後はNOVAに通う木曜日を英語デイにして、DMM英会話なども活用しながら頑張ろうと思う。

目指すは英検一級の面接通過(10年以上前に落ちた)と同時通訳者レベルである。

弁護士と通訳者になったら、先生は僕を褒めてくれますか?

『北欧こじらせ日記 移住決定編』週末北欧部 chika

『北欧こじらせ日記』の続編。

フィンランドを愛する著者は寿司職人になってフィンランドに移住する決意をする。

しかし、フィンランドに移住するのが夢と言っておきながら、日本で会社員をしている著者は何年経っても寿司スクールには通わないし英語の勉強にも本腰をいれず、「フィンランドが好き」ばかりが続くのでなんだかじれったい気持ちにさせられる。

それが夢であるならばそれに向かって邁進するかさっさとフィンランドに渡れば良いのではないかと思ってしまうのだが、海外での生活経験が少ない一般的な日本人にとってはやっぱり海外への引っ越しや移住のハードルはまだまだ高いのだろうか。

それでも、最終的には寿司職人としてフィンランドに転職することに成功する著者の情熱には感心させられる。

フィンランドや外国移住に興味がある人にはおすすめのサクッと読めるコミックエッセイ。

『物語 オーストラリアの歴史』竹田いさみ、永野隆行

元々はイギリスの流刑地で植民地であったオーストラリアだが、1901年にオーストラリア連邦が成立して、徐々にイギリスと対等な関係を築いていく。

オーストラリアは日本の約20倍の面積の割に人口が少なく(2024年時点で2,600万人程度)、かつては中国やアジアからの労働者が多くて「白豪主義(白人以外の移民を制限すること)」という差別政策を採用してきた。

しかし、地理的な理由や国際社会からの目もあり20世紀後半からはアジアからの移民も積極的に受け入れるようになり、欧米諸国だけではなく成長が著しいアジア諸国との関係も重視するようになる。

本書では、アメリカやイギリスなどの大国とは異なり、「ミドルパワー」国家として太平洋諸国や世界において存在感を発揮しようとするオーストラリアの歴史、政治や文化が楽しく学べる。

オーストラリアに何年か住んでいた僕でも意外と知らないことが多く、オーストラリア好きであれば是非読んでおきたい一冊だ。

『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』小林美希

ジャーナリストである著者が平均年収の人たちの生活を取材した記録。

表題では「絶望的な生活」などと書かれているが、第1部の「平均年収」の人たちを取材した記録では2馬力(共働き)で世帯年収が1,000万円を超えている世帯も多く、将来的に1馬力になるのが不安だったり家のローンや子供の養育費などが不安だったりで、貯金をするために節約していて生活も2馬力で余裕がなく忙しいという話ばかりである。

今の安い日本で世帯年収が1,000万円あれば身の丈以上の生活をしない限り苦しいわけがないだろう。

第2部の「平均年収以下」の人たちを取材した記録では、本人の収入が数十万円~2・300万円で世帯年収が数百万円の世帯が多いが、こちらも家族に障害があったり仕事が忙しすぎたりと年収以外の部分に問題が多いように思う。

中には年収120万円のシングルマザーや認知症の母と暮らす年収200万円の非常勤講師など、社会的に支援が必要だと思われるケースもあるが、ほとんどのケースは自分自身が選んだライフスタイルが原因で生活に追われているように思う。

いずれにせよ日本が貧しくなっていることは事実だし、現在の平均的な日本人の家庭事情を知りたい方は是非。

『旦那が突然死にました。』せせらぎ

夫婦げんかをして赤ちゃん2人を連れて実家に帰っていた33歳の著者だが、ある日突然41歳の夫を心不全で亡くしてしまう。

最愛の夫を失った絶望と死に目に会えなかった後悔から立ち直るまでの3年間をまとめたコミックエッセイ。

タイトルからして涙を誘うが、著者は夫に依存していたのか、夫の思い出の品はとにかく大事にするクセに残された小さな子供には八つ当たりするなど、「可哀想な私」がひたすら続くので少々ウンザリしてしまう。

それでも、愛する人を突然失いながらも最後には立ち直って子供と共に懸命に生きる著者の姿は、生きる勇気と現実の大切さを教えてくれる。

『行政書士 渉外相続業務』岡田忠興

東北大学法学部を卒業した後、編集記者を経てロースクールを修了し、現在は行政書士として国際業務に携わる著者による渉外相続業務の解説本。

渉外相続とは、被相続人(亡くなった人)や相続人に外国人が含まれる相続のことである。

国によって相続に関する法律や手続きが異なるので、日本で外国人が亡くなった場合も国家間の調整が必要になる。

本書では、事案に応じてどの国の法律を適用するかを定めた国際私法の解説、 被相続人がイギリス人の場合の相続手続き、カナダの年金申請手続き、そして国籍ごとの相続手続きを解説している。

在日外国人は増えているにもかかわらず士業は外国語が苦手な人が多く、相続などの国際法務は著者の言う通り競争相手の少ないブルーオーシャンの市場とも言えるので、興味がある士業の人は本書などで勉強をして積極的に国際法務に携わって欲しい。