目次
はじめに
元日から大地震に航空機炎上と嫌なことが続きますね。
被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。
『中東問題再考』飯山陽
本書は、日本人にはイマイチ理解しづらく、日本のメディアや専門家が正確に伝えない中東におけるイスラム教の国々の実情を伝えるものだ。
著者はアメリカ大好きな感が否めないが、それでも書かれている内容には説得力があるし、中東の国々を支援するのであれば、イスラム原理主義者の独裁国家において抑圧されている一般人のことを第一に考えるという見解には納得できる。
日本政府もテロ支援国家に税金を流すくらいなら被災地支援に使って欲しいわ。
中東情勢がよく分かる読み応えのある一冊。
『大学教授こそこそ日記』多井学
著者は大手銀行員を経て、大学教員として、短大、国立大で勤務し、そして現在は関西の有力私大(恐らくは関西学院大学だろう)で長年勤務している。
大学教授と言えば社会的地位が高く給料も良い職業に思えるが、著者が専任講師として勤めていた地方の短大などでは給料も300万円程度と非常に低い。
しかし、カナダの大学院の修士課程を修了している著者は実力だけではなく運もあるのか大学間での転職を重ね、現在教授として勤めている関西の私大では大台の1,000万円を突破している。
ただ、博士課程を修了していたとしても、教授はもちろん大学教員になることができない人も多く(いわゆるポスドク問題)、日本では学歴の高い人を活かせていないという問題がある。
底辺大学でのレベルの低い生徒とのやりとり、「大学の自治」における狭い世界でのセクハラ教授、学内での派閥争いや政治など、大学教授の実体がよく分かる読み応えのある一冊だ(さすがに大学教授だけあって文章は上手い)。
『The Color Purple』Alice Walker(リンクは日本語翻訳版)
一方、Celie の妹のNettieは、Celieの夫から目を付けられ逃げるように居場所を転々とすることになるが、最終的にアフリカに渡ることになる。
教育を受けていないため下手くそな英語しか書けないCelieだが、CelieとNettieは再開を望み20年にもわたり異国間で手紙のやり取りを続け、ついに再開を果たすことになる。
黒人差別がある厳しい環境の中でも最後には幸せを掴む、逞しい黒人女性の物語。
『きみのお金は誰のため』田内学
お金自体には価値がなく、お金に惑わされることなく社会の本質を理解しなければならない・・・
「お金の正体」と「社会のしくみ」について、ストーリー仕立てで楽しく学ぶことができる一冊。
『運命を拓く』中村天風
著者の中村天風(三郎)は若い頃は気性が荒く、日清戦争・日露戦争時には軍事探偵として活動した。
戦後は命を落としかねない結核にかかり、救いを求めて世界を旅することになるが、インドでのヨーガ修行を経て健康を回復し、ついには悟りを得たといわれる。
僕はパワースポットと言われる宮古島の石庭を訪れて不思議な体験をした後になぜか本書に惹かれて読み始めたわけであるが、宗教ではなく天風哲学と呼ばれる中村天風の宇宙や潜在意識に関する教えは、まるで欠けたピースが埋められるかのように、すっと心に入ってくるものだった。
信念がある読者ならきっと理解できるはず。
『日本の死角』現代ビジネス
このような謎に満ちた日本社会の実態を、東大卒の学者など高名な人たちがデータや経験に基づいて記事にしたものをまとめた一冊。
『マンガでやさしくわかる認知行動療法』玉井仁、星井博文、深森あき
本書(マンガ)の主人公の女性は、突然の子会社への異動を命じられ軽いうつ病になってしまい、仕事もうまくいかずに上司や同僚から陰口をたたかれているのではないかと周囲の評判が気になるようになる。
そんな中、飼い猫のハル大将に乗り移った精神科医のサポートを受けながら、不安を感じたときは主観的になり落ち込みやすい気分を冷静に分析して客観的に物事を捉えることで、不安やうつを乗り越えて自分に向き合うようになる。
「全ては捉え方次第だ」とは昔からあちこちで言われているものの、認知行動療法はそれを実践に移すのをサポートしてくれるだろう。