宮古島つれづれ日記③~飛行機の日に自転車でビーチまで疾走する~

長間浜の入り口

今日(12月17日)は飛行機の日である。

1903年にライト兄弟が動力飛行に成功したことからそう呼ばれているらしいが、この日は飛行機(正確には飛行機を使った旅行)が好きな僕の誕生日でもある。

宮古島にはほぼ毎年11月から12月にかけて滞在しているが、考えてみると、誕生日を宮古島で過ごすのは初めてだ。

一昨日までは最高気温が27~28度まで達する夏日だったのだが、昨日は一転、雨と風が強い荒天で気温が10度近くも下がり、宮古島にも冬が訪れた。

日曜日の今日は、なんとか曇り空で天気がもちそうだったので、自転車で与那覇前浜と来間島を訪れることにした。

市街地にある「BIGJOY」で電動自転車を借り、南に向かって自転車を走らせる。

与那覇湾

与那覇湾

先日、宮古島の石庭を訪れて不思議なパワーをもらった話をしたが、身体の中は未だに高揚感で満たされている。

天体と人間才能は無限大である

宮古島つれづれ日記②~パワースポット石庭での不思議な体験~

2023年12月11日

石庭を訪れたその日、すっかりテンションが上がった僕は夜に知り合いのバーで飲んでいたのだが、その際に店員3人と握手をした。

その内の1人は、翌日に野球をプレー中に肉離れを起こしたらしい(気持ちに身体がついてこなかったとのこと)。

その他の1人は、翌々日に車を運転中のスマホ使用で警察に止められ18,000円を支払い、さらにその後タイヤがパンクして15,000円を支払う羽目になったらしい。

島全体がパワースポットと言われる宮古島には、悪いものを排除する自浄作用があると聞く。

今回は単なる偶然が重なっただけの可能性もあるが、宇宙のパワーは絶大で、受け取る側にもそれ相応の準備が必要だということを思い知らされた。

石庭において不思議なパワーを肌で感じ、そして宇宙や潜在意識に関する本を何十冊も読んでようやく、僕は宇宙と繋がることの意義を理解できたように思う。

いや、中村天風やブッダが様々な地を旅して長年の苦行の末にようやく悟りを開いたことを考えると、40を超えて間もない僕がこの境地に達したのはむしろ早いというべきか。

これからは真・善・美を旨として生きていこう。

曇り空の下そんなことを考えながら自転車を漕いでいると、あっという間に与那覇前浜に到着した。

東洋一美しいと言われる与那覇前浜

東洋一美しいと言われる与那覇前浜

空は暗いが、砂浜と海は相変わらずの美しさである。

この与那覇前浜は、僕が大学生時代にゼミ合宿で訪れた思い出の地でもある。

宮古島が初めての沖縄で、与那覇前浜が初めて目にした沖縄の海。

来間大橋と来間島が見える

来間大橋と来間島が見える

大学生になっても相変わらずの学校嫌いだった僕だが、宮古島でのゼミ合宿は、大学生活での唯一とも言える良い思い出だったかも知れない。

その際に宮古島に魅せられて30代になってから毎年のように宮古島を訪れるようになるわけであるが、思えば、コロナ禍の2021年(この年は本厄でもあった)を除いては、今年で宮古島を訪れるのはもう9年目となる。

竜宮城展望台から来間大橋を望む

竜宮城展望台から来間大橋を望む

ともすれば人は誕生日に1人で過ごしていると、「誰も祝ってくれない」「自分はなんて孤独なんだ」と嘆きがちになるが、自分の一番好きな場所で好きなように過ごすというこれほどの幸福があろうか。

人間というのはそもそも孤独な存在であり、幸か不幸か、自分の心の有り様は自分しか決めることができない。

竜宮城展望台から与那覇前浜を望む

竜宮城展望台から与那覇前浜を望む

与那覇前浜から来間大橋を渡って来間島の竜宮城展望台を訪れた後、近くの「楽園の果実」でランチをいただくことにした。

このレストランは観光客がメインで少し値が張るものの、それに見合った料理を出してくれるお気に入りの場所だ。

これまでに注文したことのない宮古牛のステーキ丼(2,100円)と食後に日替わりケーキセット(400円)をいただく。

前菜とスープ。高級フレンチさながらのお上品な味わい

前菜とスープ。高級フレンチさながらのお上品な味わい

宮古牛と言えば高級すぎて(ステーキ1枚5,000円はする)なかなか食べる機会はないのだが、ステーキ丼のお肉はとにかく柔らかくかつ濃厚で、至高の味わいである。

豊富な島野菜と宮古牛を使用したステーキ丼

豊富な島野菜と宮古牛を使用したステーキ丼

ステーキ丼を味わって食べていると、隣席に座っているカップルの女性がなぜか僕の方に向かってくしゃみをしてくるが、もはやそんなことは気にしない。

食後にいただくケーキセット

食後にいただくケーキセット

すっかりとお腹が満たされた後、来間島を自転車で巡ってみることにした。

小さな来間島にはサトウキビ畑が広がる昔ながらの沖縄の風景が広がっており、自転車を漕いでいるとなんだか妙にテンションが上がる。

素朴な来間島の風景

素朴な来間島の風景

車では風を感じることができず楽をし過ぎるし、バイクでもスピードが出過ぎるので多くのものを見落としてしまう。

かと言って普通の自転車では体力を消耗するので、沖縄の離島ではやはり電動自転車が最適解だと思う。

長間浜の入り口

長間浜の入り口

来間島の西側にある長間浜は夕日スポットとしても人気のビーチだ。

ゴツゴツとした長間浜のビーチ

ゴツゴツとした長間浜のビーチ

来間島には最近大型リゾートホテルができたものの、それ以外にはまだまだ見渡す限り畑が広がっており、畑の向こうにはいくつかのビーチが点在している。

ムスヌン浜

ムスヌン浜

人気がなく、緑に囲まれてゴツゴツと岩肌が露わになっているビーチは、どこか多良間島や鳩間島のビーチを連想させる。

来間島を一周した頃、通り雨が降ってきたので来間港にある東屋でしばし雨宿りをすることにした。

来間港

来間港

最高気温が18度と宮古島にしては極寒と言えるこの日、雨がさらに身体を冷やす。

通り雨が止んだところで来間大橋を渡って帰ろうとすると、見慣れない光景を目にする。

来間大橋。宮古島には3つの橋がある

来間大橋。宮古島には3つの橋がある

低気温にもかかわらず時折の雨と強風が吹き付けるこの悪天候の中、杖をついた島のおばぁが頼りない足取りで橋を渡っているではないか。

ひょっとすると認知症だろうか。

今にも風に飛ばされそうだったので声をかけようかと迷っていたところ、後ろからやってきた車がおばぁの隣で停車してそのおばぁを乗せて行った。

その後に、家族らしき人が乗る車が自転車を押して歩く僕のところにやって来ておばぁの行方を聞いてきたので、やはり家族に断りもなく1人で出歩いているらしい。

おばぁは一体、どこに行きたかったのだろうか。

警察に通報するでもなく見知らぬおばぁでも普通に乗せて行くところに宮古島の人の温かさを感じながらも、まるで荒波に向かっていく命知らずのサーファーのように、頼りないながらも決意に満ちた足取りで橋を渡ろうとするおばぁの姿が目に焼き付いている。

橋ですれ違ったおばぁとの間に、生きてゆくものと死にゆくものの無常を感じずにはいられなかった。

おばぁの無事を祈りながらも、来間大橋を後にした僕は市街地に向けて自転車を走らせた。