アフターコロナで読んだ本まとめ㉔+α

関西空港

宮古島はまだまだ夏日である。

ANAの機内から宮古島を望む

ANAの機内から宮古島を望む

今年は仕事が忙しい中、なんとか毎年恒例の宮古島にやって来ることができた。

しかし、数十万円分の仕事を抱えたままなので、完全にワーケーションである。

思えば、コロナ禍で地方移住やワーケーションという言葉が流行るずっと前から旅先で仕事をする生活を続けていたような気がする。

関空で買う岸和田名物コーヒーランド。岸和田と言えばやっぱりコレ

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宮古島に来て、特別何かをするというわけでもない。

すっかり冬の気配がする大阪とは異なる温暖な気候の中、日中は仕事の合間にのんびりと海を眺めたりして過ごし、夜は飲食店やバーで知り合いとの会話も楽しみながら食事やお酒を嗜むくらいである。

もはやこの時期にやって来る男として定着しているのか、故郷のように温かく出迎えてくれるのが嬉しい。

空港でいただく宮古そばとオリオンビールは格別だ

空港でいただく宮古そばとオリオンビールは格別だ

宮古島は1年間の疲れを癒して来年への鋭気を養うために、コロナ禍の2021年を除いて毎年訪れている。

コロナ禍も終わりを迎えているのか、今年(2023年)は本業である翻訳会社の仕事がコロナ前の水準に戻ってきて、司法書士の仕事も軌道に乗り始め、さらに予備試験の勉強もしているので仕事と勉強に忙しい1年だった。

残念ながら予備試験には落ちたものの(想定内ではあるが)、宅建とビジ法2級には合格することができたし、仕事には困らないので順調な人生だとも言える。

来年以降は法律家と経営者として実績を残し、旅に出る回数も増やし、相手がいれば結婚することができれば最高だ。

あぁ、なんて素晴らしい人生なんだ。

ホテルから平良港を望む

ホテルから平良港を望む

『元ヤクザ、司法書士への道』甲村柳市


出典:amazon.co.jp

刑務所の独房における民法の条文丸暗記から始めて、8年かけて合格率約3%(現在は5%くらい)の超難関試験・司法書士試験に合格した元ヤクザの人生。

僕は「昔ヤンチャしてました」みたいな男が道を踏み外さずに頑張ってきた人間より注目を浴びるのは好きではないのだが、自らの不良人生だけではなく司法書士の仕事内容や勉強方法にも言及されており、同業者としてそれなりに楽しく読むことができた。

しかし、「不明点があれば裁判所や法務局に電話して聞く」などと書いてあったけど、裁判所も法務局も忙しいのになんて迷惑な人なんだ。やっぱりそういうところだと思うぞ。

『酒乱になる人、ならない人』真先敏弘


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酒乱である士業の先輩に背後から襲われまして、パワハラを許せない僕はブチ切れました。

本書は東大卒の医師による酒乱の解説本だが、サクッと読める本かと思いきや思ったよりも論文調で専門用語もあり読みづらかったかな。

最近はアフターコロナで酔っ払いによる事件が多いけれど、酒乱が遺伝子によるものであれば、人の道を踏み外す前にお酒を止めるしかないように思いますよ。

『The Silent Patient』Alex Michaelides


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夫を銃で殺害した容疑をかけられている妻は、事件以来一言も言葉を発しなくなってしまった。

サイコセラピスト(心理療法士)が彼女のケアを担当することになるのだが、最後には思いも寄らぬ結末が待っていた。

ベストセラーになったスリラー小説。読みやすいので洋書好きにはおすすめ。

『Verity』Colleen Hoover


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事故により子供を亡くしてしまい身体が動かなくなってしまったベストセラー作家のVerityの代わりに、作品を完成させることになってしまった売れない作家のLowen。

LowenはVerityの日記を読むうちにとんでもない事実を発見してしまい、そして、なぜか動かないはずのVerityがまるで貞子のように夜になると動き出す・・・?

驚きの結末が待っているサイコスリラー。どうやら海外ではサイコパスの本が流行っているようである。

『On the Shortness of Life』Seneca


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古代ローマの哲学者セネカによる『人生の短さについて』の英語版。

古い書だけあって使われている英語も古く読みづらいのだが、日本語でも良いので人生に一度は読んで欲しい名著である。

2000年経っても人間の本質や悩みというのは何も変わらないものだ。

『エコーズ・オヴ・ライフ (デラックス・エディション)』アリス=紗良・オット


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ドイツ出身の美しすぎるピアニスト、アリス=紗良・オットによるアルバム『エコーズ・オヴ・ライフ』に追加の11曲を収録した豪華版。

僕がクラシック音楽を聴くようになったのはこの方のお陰です。

今年は大阪のフェスティバルホールでコンサートが開かれたようだが、残念ながら宮古島行きと重なってしまい、かつ去年とプログラムも同じようなので、泣く泣く断念することになった。

来年アリスさんにお会いできることを楽しみにしています。

新しいベートーヴェンのオーケストラアルバムも至高なので是非。


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『コンビニ兄弟3』町田そのこ


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町田そのこによる、コンビニを舞台にした人間ドラマが繰り広げられるシリーズもの。

本シリーズはライトノベル的な立ち位置でサクサクと楽しく読めるが、作家の幅広い才能を感じさせてくれる。

売れっ子になってもハイペースで作品を出し続けてくれるそのこさんはやっぱり凄いわ。

『バスドライバーのろのろ日記』須畑寅夫


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教師を辞めて憧れのバスドライバーになった男の物語。

バスドライバーは人の命にもかかわる大事な仕事とは言え、乗客や会社からも時間厳守などの細かい仕事を要求され、守らなければ怒られるという日本社会の縮図を見ているようでした。

これだと発達障害傾向にある人はまともな職にありつけないだろうし、日本社会はもう少し他人のミスに寛容になった方が良いと思うぞ。

『ルポ 国際ロマンス詐欺』水谷竹秀


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国境を越え、SNSやマッチングアプリで結婚願望のある人から金銭を奪い取る国際ロマンス詐欺。

金髪美女という魅力的な容姿で甘い言葉をささやきその気にさせてくるが、その実態はアフリカのナイジェリアで生活のために国際ロマンス詐欺を行うおっさんであった(若者もいる)。

オレオレ詐欺のように、ビジネスとしてマニュアル化された国際ロマンス詐欺の実体に迫る一冊。

『恋愛結婚の終焉』牛窪恵


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結婚と恋愛は異なるどころか、正反対の水と油のようなものである。

現代の結婚において、男は女に経済力(男らしさ)を求め、女は男に家事・育児能力(女らしさ)を求めるが、これは恋愛とは真逆になると著者は説く。

結婚するなら友達のようなパートナーがベストかもしれない。

歴史学、脳科学や行動経済学の観点も交え、未婚率の上昇を解明する一冊。

『マッチング・アプリ症候群 婚活沼に棲む人々』速水由紀子


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実際にマッチング・アプリを使用して数多くの人と会い、当事者に取材を敢行する一冊。

最近はこの手の本も増えてきたけど、そのうちマッチング・アプリ系YouTuberとか出てきて社会問題になりそうだな笑(もういるのかな?)。

マッチング・アプリは写真詐欺に絶望することが多いし過度な期待はせず、詐欺は元より金目当ての女に当たると最悪だからダサい格好で行くことをおすすめしたい(まともな人が来ても責任は取れない)。

『「選択的シングル」の時代』エルヤキム・キスレフ


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先日、クラシック音楽バーで一人で音楽を聴きながらワインを楽しんでいると、田舎臭い酔っ払いのおっさんが隣にやって来て、独身でいる僕に「結婚しないの?」「男は捨ててないんでしょ?」などと説教を垂れてきたのでマジでブチ切れる3秒前でした。

結婚していることでしか自己のアイデンティティを保てない人間が偉そうにしていると法の裁きを下すぞコノヤロー。

このように日本ではまだまだ独身者に対する風当たりが強く他人のライフスタイルに口を出してくる人も多いのだが、本書はシングルでいることのメリットを説いており、独身者に勇気と希望を与えてくれる一冊となっている。

僕の見解としては、一人で幸せになれない人は結婚しても幸せになれないと思うよ。

『高学歴難民』阿部恭子


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博士課程卒、帰国子女やロースクール卒など高学歴でも貧困に陥ってしまった人たちのインタビュー集。

面白く読めたが、とりわけ興味深かったのが、有名大学卒でスチュワーデスになるも職場に合わずに退職し、ロースクールに入学して検察官を目指すものの何年も勉強しても司法試験に受からず、貧困から食べるものにも困り容姿もボロボロになるものの、最終的には仕事のできる白人と結婚して海外で幸せな生活を送る女性の物語だ。

そんなんせこいやん。仕事をせずに身なりの汚い30過ぎの男が金持ってる美人の女性に気に入られて結婚して仕事せずに過ごすなんて可能性はほぼゼロやねん。

『コンビニオーナーぎりぎり日記』仁科充乃


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コンビニフランチャイズオーナーになった夫婦の物語。

24時間営業や本部に払う高額なロイヤルティーなどで、老体にむち打ちながらほぼ休まずに働き続けることになる。

月に数千万円(年間で数億円)の売上があっても、入ってくる収入(利益)はサラリーマンの給与とさほど変わらないもので、かつ不安定だ。

コンビニフランチャイズオーナーは独立とは名ばかりの現代の小作農制度にも思えてくる。

同じ系列のコンビニで深夜バイトしていたこともあり、同シリーズの中でも楽しく読める一冊でした。

『BOTCHAN』NATSUME SŌSEKI


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夏目漱石の名著『坊ちゃん』の英語版。

坊ちゃんと呼ばれた若者は、東京の学校を卒業して愛媛県の中学校に数学教師として赴任することになる。

しかし、そこには教師に狼藉を働く悪ガキ生徒や意地の悪い同僚の教師が待ち構えていた。

太宰治と同じく人間不信と思われる文豪・夏目漱石による、田舎での新米教師生活と複雑な人間模様を描いた愚痴ともとれる一冊。

漱石の作品の中ではあまり好きな方じゃないかな。

『坊っちゃん』夏目漱石


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英語版が分かりづらかったので久しぶりに原文にあたってみたが、昔の本だけあって日本語版もなかなか読みづらかったなぁ。

これを訳し終えた翻訳者に乾杯。