香川県に滞在中、1泊2日で小豆島(しょうどしま)を訪れた。
小豆島は香川県の北東に位置し、人口約2万5,000人・周囲約126kmの瀬戸内海で2番目に大きな島だ(ちなみに、意外と思い浮かばないが1番は淡路島である)。
高松市から小豆島へはフェリーで約1時間。
小豆島の西に位置する土庄(とのしょう)港でフェリーを降り、港近くのビジネルホテルでスーツケースを預け、予約しておいた電動自転車をレンタルする。
今回は友人と一緒だったので大型バイクを借りたかったのだが、島の大きさの割に大型バイクのレンタルは見当たらず、90ccのスクーターも空きがなかったのでやむなく電動自転車を借りることにした。
電動自転車にまたがり、まずは土庄港から南に位置するエンジェルロードを目指す。
エンジェルロードはガイドブックなどでよく目にするが、1日2回の干潮時に島の間に砂の道が現れて歩いて渡ることができる砂州である。
バリ島で訪れたタナロット寺院を連想させるが、こちらは瀬戸内海なので波も穏やかである。
エンジェルロードは「大切な人と手を繋いで渡ると願いが叶う」と言われており、エンジェルロード周辺には「恋人の聖地」の文字や「ずっと一緒に・・・」のようなお決まりの願い事が書かれた絵馬などを目にする。
なんだかいかにも田舎の観光地らしく安っぽい印象を受けるのだが、訪れている人たちはカップルばかりというわけではなく、家族連れやグループなど普通の観光客も多いのでお一人様でも安心だ。
「どうせ別れるのに・・・」
東京からやって来たなべ太郎が隣でボソッとつぶやく。どうも、40を過ぎて仕方なく独身をやっていると性格も歪んでくるらしい。
エンジェルロードから、小豆島の南の海岸沿いに伸びる道路を東に向かって走る。
小豆島はそれなりに都会なこともあってか、車道には車が頻繁に通り、歩道も大阪のように狭い場所が多くて自転車だと意外と走りづらい。
猛暑の中、太陽に向かってひたすらペダルを漕いで小豆島南部の中ほどにあるオリーブ園に到着。
小豆島は地中海沿岸に気候が似ているらしく、オリーブ栽培が盛んなようだ。
園内にあるレストランでランチをいただいたが、口の中でとろけるオリーブ牛はなかなかに美味であった。
どうも、香川県民は健康に対する意識が高いのか、香川県の食事は野菜がふんだんに使われており、胃にもたれることもなくヘルシーな印象を受ける。
オリーブ公園には約2,000本のオリーブの木が植えられているそうで、なんだかスペインで見たオリーブ畑を思い出す。
好物であるオリーブの実を買って帰りたかったのだが、残念ながらオリーブの収穫期は10月頃からのようで、お土産屋にオリーブの実は見当たらなかった。
オリーブ公園内の建造物がどうもギリシャチックだなぁ、と思っていたら、小豆島はギリシャのミロス島と姉妹都市らしい。
小豆島の海はそれなりに綺麗ではあるが、どうも瀬戸内海の海は全体的に緑がかっているようである。
オリーブ公園から来た道を引き返し、途中から山道に入り中山千枚田(なかやませんまいだ)を目指す。
道中はかなりの山道で、電動自転車でも息が上がる。
中山千枚田は小豆島の真ん中の中山地区にある、「日本の棚田百選」にも選ばれた約800枚の大小の棚田(たなだ)からなる景勝地だ。
猛暑の中で長時間自転車を漕いでいるとかなり疲労が溜まってきたので、中山千枚田から土庄港へと戻り、夕食まで迷路のまちを散策して時間を潰すことにした。
小豆島は島のサイズ感といい雰囲気といい、どことなく宮古島や石垣島に似ているような気がする。
まだ時間が早く適当な居酒屋も空いていなかったので、エンジェルロード近くにある小豆島ラーメンで夕食をいただくことにした。
ラーメン屋の店内は結構な広さにもかかわらず、店主のおじさんがあくせくと1人で調理も接客もこなしている。
フェリー内でも売店のおばさんが1人で清掃もこなしていたし、若くもないのにワンオペで不安になるのだが、ひょっとすると香川県は働き手が足りていないのだろうかそれともただ単に人件費をケチっているだけだろうか。
小豆島では土庄港前にある「ビジネスホテルニューポート」に宿泊した。
「ニュー」という名前とは裏腹にいかにも離島らしき昭和な雰囲気のホテルだが、宿泊料金は1泊5,000円程度とリーズナブルで、島の人らしきホテルのおばちゃんは足が悪そうにもかかわらず元気で愛想が良くまた泊まりたくなるホテルだ。
夜は特にやることもなく早めに就寝し、ホテルのおばちゃんからお土産にもらったオリーブのポテチを片手に、翌朝に小豆島を後にした。
小豆島は島の西側にも見どころが多いので電動自転車でも十分に楽しめたのだが、島を一周しようと思うと電動自転車ではきついので、今度来たときにはレンタルバイクで島を巡ろうと思う。