目次
はじめに
時の流れは速いもので、気が付けばゴールデン・ウィークである。
4月は花粉と黄砂に苦しめられながら仕事と勉強に追われていたのだが、ゴールデン・ウィークはこれといった予定もなく予備試験も7月に近づいていることだしもっぱら勉強に費やす予定だ。
ここ最近、統一地方選挙や司法書士会の役員選挙などで知り合いが出馬していることもあり、何やら周囲が盛り上がっているように思う。
ある政党の組織票をバックに、学生時代のクラスメイトのサイコパスが市議会議員に当選してしまって絶望している。
弁護士にしろ医師にしろ議員にしろ役員にしろ能力も人格も備わっていて欲しいと思うのだが、世のため人のために働くのではなく、名誉欲に犯され目立ちたい人に限って先生職に就こうとするのであればもはや投票する意欲も失せてくるわ。
それはともかく、せっかくのゴールデン・ウィークだし、中之島美術館で佐伯祐三展がやっているから見に行ってくるとするか。
6月末からは京都市京セラ美術館でルーヴル美術館展も開催されるのでこちらも要チェックだ。
『City of Thieves』David Benioff
出典:amazon.co.jp
第二次大戦中、ナチスドイツ軍包囲下のレニングラード(現ロシア)。
17歳のLevはある日、パラシュートで落ちてきたドイツ軍兵の死体から物資を盗もうとしたところ自国の軍隊に逮捕されてしまう。
死を覚悟したLevだったが、軍隊を脱走した罪で同じく逮捕されたプレイボーイのKolyaと共に、娘の結婚式に使うための卵を探していた大佐の命により、自らの命をかけて卵を12個探すための旅に出ることになる。
極寒の中食べるものもろくにない戦時下のロシアで、人食い人種やドイツ軍からの攻撃を避けながら、果たしてLevとKolyaは無事に卵を見つけ出すことができるのか。
祖父から聞いた戦争の話を元に描いた、別れと運命的な出会いが感動を呼ぶ物語。
邦題は『卵をめぐる祖父の戦争』。グロもあるよ。
『悩め医学生 泣くな研修医5』中山祐次郎
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現役の外科医による大人気の『泣くな研修医』シリーズの第5弾。
本作は時系列的には一番早く、主人公の雨野隆治が研修医になる前の鹿児島における医学生の時代を描いたものだ。
このシリーズは好きなんだけど、何か青春の人間ドラマがあるわけでもなく、「医大でこんなことを学びました」という専門的な内容の羅列で、これまでの患者の生死を描いた作品に比べるとイマイチ読み応えがなかったかなぁ。
まぁ、最後にココイチの激辛カレーが大好きな佐藤女医が出てきたのが救いかな。
それにしてもこの主人公、患者を救えなくて泣くほど悔しがっている割には、恋愛に関してはめちゃくちゃドライでなんだかサイコパス臭がしてきました。
『こんなにおもしろい不動産鑑定士の仕事』大島大容
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以前から不動産鑑定士が気になっていたので概要を知りたくて購入。
弁護士・公認会計士と並んで「日本三大国家資格」に数えられることもある不動産鑑定士だが、難易度の割にその知名度は恐ろしく低い(人数も少ない)。
その難易度と知名度の乖離は司法書士すら凌駕しているように思う。
早稲田大学在学中に7ヶ月の勉強で短期合格した優秀な著者による具体的な仕事内容の解説本だが、文字通り不動産の価格を算定する不動産鑑定士の仕事は行政からの依頼が多く、そして田舎ほど稼げるようである。
仕事が安定的に入ってきて、意外にも海外を含めた出張が多いのは魅力的に思える。
本書は専門的な内容も多いので、不動産鑑定士になりたい人向け。
『さよならも言えないうちに』川口俊和
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過去に戻れる不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台にした4人の男女の物語。
海外でも大ヒットしているらしいベストセラー『コーヒーが冷めないうちに』の続編だが、本作でも相変わらず泣かせてくれました。
人間よりも、ワンコとの愛の話が一番ジーンと来たなぁ。
『保育士よちよち日記』大原綾希子
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ひとりの人間の人生を通して気になるあの職業の裏側が見えるベストセラー日記シリーズの最新作。
今回は一般企業での勤務を経て、子育ても一段落した後にパート保育士を務める中年女性の物語だ。
このシリーズは全部読んでいるけれど、本作は以前読んだ作品の内容と被るせいもあってか、それとも著者がそれなりに幸せな人生を歩んでいるように見えるせいか(このシリーズは著者の転落っぷりが結構面白い)、それほど印象に残らなかったかな。
それにしても、保育士っていうのは子どもの命を預かる大事な仕事なんだから、給料もせめて看護師並で良いと思うし、学校を出たばかりの若いお姉さんばかりではなく、著者みたいに社会人経験豊富で子育て経験がある人の方が安心して預けられるよな。
『運転者 未来を変える過去からの使者』喜多川泰
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歩合制の保険営業に転職するもなかなか成果が出ず、顧客からの大量解約もあり仕事でも家庭でも窮地に追いやられる修一だったが、ある日乗ったタクシーには「運」を「転」じてくれる運転者が乗っていた。
当初は半信半疑で運転者の話を聞いていた修一だったが、何度も目の前に現れるそのタクシーの運転者の話を聞いてその通りに行動しているうちに次第に人生が好転していく。
Amazonでレビューは大量についているし人気の作家のようなので読んでみたけれど、この著者の作品はライトノベルと自己啓発本を合わせたような感じで、どこからともなくメンターが現れて人生の指針を示してくれるというものだ。
読みやすいし、時折グッと来る言葉もあるので自己啓発本が好きな方にはおすすめ。
同じ著者による『手紙屋』『君と会えたから・・・』もなかなか楽しめました。