今年の宮古島滞在中も雨が多い。
11月頃の宮古島と言えば、数年前までは北風は強くともそこまで天気が悪くない印象だったのだが、気候変動でもあったのかここ数年間は雨の日がデフォルトになっているような気がする。
東京から宮古島を訪れた友人のB太郎が滞在中は概ね嵐だったのだが、彼のリクエストで宮古島海中公園を訪れることにした。
宮古島海中公園は池間島の手前の狩俣地区にあり、海中に設けられた施設からリアルな海の様子を眺めることができる。
平たく言えば、動かない水中観光船のようなものである。
入場料金は1,000円(一般)だが、併設の「シーサイドカフェ海遊」の食事とソフトドリンク(またはソフトクリーム)がセットになった2,000円のチケットがお得なので、ここで観光がてらランチを取るのがおすすめだ。
この宮古島海中公園は数年前にも訪れたことがあるのだが、大阪にある水族館のようなものを想像していくとそのサイズは驚くほど小さい。
海中観察施設はワンフロアで端から端まで見渡せるほどである。
海中そのものなので見られる生物は日によって異なり、サメやウミガメが見られることもあるそうだ。
以前は魚が全くいないなんてこともあったそうだが、施設の外に藻が付着してきたのか、だんだんと魚が集まってくるようになったようである。
しかしこの日は嵐の様相で海も荒れているのか、透明度こそそこまで低くはなかったものの、魚の群れがまさに死んだ魚の目をして流されるままになっていたのがなかなかユニークな光景であった。
前述の通り海中観察施設はコンパクトなので、椅子に座ってぼんやりと眺めていても30分~1時間もあれば十分である。
流されるままの魚を堪能した後、併設の「シーサイドカフェ海遊」でランチをいただくことにした。
この日は風が強く波も高かったが、カフェの窓からは命が惜しくないのかサーフボードに乗って勇敢に沖へと出て行く若者の姿が見えた。
宮古牛ロコモコはソースはやや甘く感じられたものの、宮古牛を使ったハンバーグはもちろん付け合わせの野菜も含めてなかなか味わい深い一品だ。
宮古島海中公園は期待していくとそれほどでもないのだが、ちょっとお魚を見て海辺でのんびりとランチを食べられる場所と考えると結構楽しめるものである。
宮古島海中公園を訪れた後は北にある池間大橋を渡って池間島を巡るも良し、その道中にある雪塩ミュージアムに行くも良しである。
僕はまれに不安障害を発症するのでバイクはともかく車の運転は苦手、友人のB太郎も東京人らしくペーパードライバーと、アラフォーにもかかわらず移動能力のない2人である。
晴れていればバイクに乗って島を巡るのだがこの日は雨模様でタクシーを利用していたところ、雨が止んできたので歩いて雪塩ミュージアムから西平安名崎を目指すことにした。
雪塩(ゆきしお)とは、ミネラル成分豊富な宮古島の海水から作られた塩のことで、調味料としての塩そのものはもちろん、お菓子やお酒の材料などにも幅広く使用されている宮古島の名産品である。
雪塩ミュージアムでは雪塩の製造工程を学んだり、豊富な雪塩関連のお土産を購入したり、カフェでくつろいだりすることができる。
ここに数年前に遊んだことがあるワンコがいるのだが、日々訪れる観光客のせいか、相変わらずワンコは数年も経つと僕のことはすっかり忘れるようである(コロナ禍でワンコに触れるのもはばかられるのが悲しい)。
雪塩ミュージアムから、2km近く歩いて西平安名崎(にしへんなざき)を目指す。
ここはとりわけ冬季には北風が強く、風車が勢いよくグルグルと回り続けている。
宮古島の名所である東平安名崎のように遊歩道が整備されていて灯台があるというわけでもなく、西平安名崎では駐車場の近くに簡素な展望台とアメリカのスクールバスを改装したらしい飲食店があるだけだ。
昔はここから見る壮大な景色も感動したものだが、すっかりと見慣れたせいかそれとも悪天候のせいか、あるいは年を重ねて経験を積んだせいなのか、以前のように心を動かされることもない。
雨が再び強くなってきたところで、タクシーを呼んで市街地に戻ることにした。