どうやら雨男なのか、宮古島に来てから3日間ずっと雨で何もやることがない。
とは言っても、コロナ禍の影響が大きかった去年を除いては2014年から毎年宮古島を訪れているので今さら特にやることもなく、結局夜に酒を飲み歩くのがメインになって、日中は最低限の仕事をこなす以外はほぼほぼ寝ている。
予備試験とマラソン大会に向けて参考書とランニングウェアも持ってきたのだが、酒が残っていることもあってかどうにもやる気が出ない。
今回滞在しているホテルは、イーザトの「島おでんたから」の裏手にある「宮古島令和ホテル」だ。
なんと、1泊あたりの宿泊料金が2,000円(シングルルームで15泊以上の場合)と破格の安さである。
今回は21泊なので、合計で42,000円と、「ザ・リッツ・カールトン大阪」の1泊分より安い。
旅行支援があるので当初は1泊5,000円以上のホテルに泊まろうと考えていたのだが、7泊以内とか条件があるし旅行業者によっても違いがあるようでややこしい。
結局、面倒くさくなって半ばやけくそに一番安いホテルを選んだのだが、これが意外と快適だから分からないものである。
部屋は個室だし、ベッドやデスクはもちろん冷蔵庫やエアコンもあり、ネット(Wi-Fi)のスピードも早く、長期滞在者に配慮してなのかワードローブなどの収納スペースも十分過ぎるほどにある。
新しいホテルなので綺麗だし、市街地にある1泊5,000円程度の古いホテルよりよほど快適じゃないかと思うほどだ。
おまけに、滞在している部屋はまさかのオーシャンビューである(貨物が積まれた平良港が見えるだけではあるが)。
ネックと言えばシャワーとトイレが共用なことくらいだが、数もあるし清潔なので、この値段であれば何も文句はない。
僕は飲み歩くのを楽しみに来ているので使用しないのだが、1階には共用のキッチンやリビングスペースもあるので、節約志向の長期滞在者にもおすすめだ。
初日に宮古空港からホテルに到着し、急な階段を上がって3階の部屋へと向かい、部屋の横にかけられている絵画を見たときに思わず言葉を失った。
ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』。僕の事務所に飾っているのと同じ大好きな絵だ。
同じ階には『牛乳を注ぐ女』も飾られており、館内の装飾が完全に僕の好みと一致していて、なんだか運命じみたものを感じる。
1ヶ月泊まっても6万円程度だし、このホテルはすっかり気に入ったので来年以降も泊まろうかと思っている。
さて、久しぶりの宮古島で飲み過ぎたのかすっかりと二日酔いになり、雨の中デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の脳みそで天井をボーッと眺めていたのだが、お昼時にふいに宮古そばが食べたくなってホテル近くにある「菊栄食堂」にやってきた。
ここのそば(600円)は、シンプルながらも深みがあり飽きの来ない美味しさで、宮古島の中でも一二を争う宮古そばではなかろうか。
しかし、以前は500円だったような気がするのだが、やはりここのところの物価高騰の波は宮古島にも押し寄せているらしい。
昼食後、雨も止んできたのでパイナガマビーチまで散歩することにした。
パイナガマビーチまでは1km程度。二日酔いが残る頭と食べ過ぎでボテッとした身体には少しこたえる。
しかし、いつ来ても市街地にこれだけの美しい海が広がっているのを見ると感動せずにはいられない。
沖縄の人口数十人から数百人程度の小さな離島であれば、集落の前にこれだけの海が広がっていても不思議ではないが、宮古島の市街地はそれなりに発展しているのだから驚きである。
フェルメールブルーに勝るとも劣らない宮古ブルー。
薄い青と濃い青が連なる海は、自然が生み出した芸術作品であることを改めて思い知らされる。
コロナ禍ですっかり忘れかけていた旅することの意義は、美味しいものを食べて美しい風景を眺め、人との出会いや新しい体験を通して自らの人生に新しい価値を創造することだ。
デフォルト・モード・ネットワークの脳が歓喜していることを確認したところで、ホテルに戻ってもうひと眠りすることにした。