アフターコロナで読んだ本まとめ⑪

はじめに

コロナ禍も3年目が終わりに近づいてきている。

事務所まで徒歩で通勤する際やランニングをする際にはもうマスクをしていないが、飲食店や屋内ではまだまだマスクが必須のようである。

同調圧力の強い日本社会では医学的理由からよりも精神的理由からの方が大きいように思うのだが、1人で飲食店に入るためにわざわざマスクを着用して席に座るなりマスクを外すのはもはやコントではないかと感じている。

日本社会がマスクの着用を未だに求めているにもかかわらず、メディアで円安に喜んでいる外国人旅行者ばかりを取り上げているのには強烈な違和感を覚える(まるで、日本国内において外国人が日本人に優先するかのようである)。

人類の歴史は感染症との戦いとは言え、もはやこれ以上人生の貴重な時間をコロナのために制限されるわけにもいかず、個人的には感染しても構わないのでコロナ禍前の生活に戻りたいところである。

しかし、外食にせよ旅行にせよ、いざ自由にできるとなってもその意欲自体が失われているのではないかと危惧している。

外食も旅行も豊かな人生のためには欠かせないものではあるが、それと同時にしょせんは娯楽なので無理をしてまで行こうとは思わない。

ここ最近は外食する機会も少しずつ増えてきたのだが、そのほとんどは2~3ヶ月に1回くらいのペースである司法書士会のイベントだったり研修後の会食だったりする。

旅行好きでホテルに泊まるのも好きな僕は、イベントごとがホテルで開催されるとなると積極的に参加するようにしている。

来月は「ザ・リッツ・カールトン大阪」での懇親会だぜ。ゲヘヘ

僕はそもそもサラリーマンではないので、「仕事後に同僚とちょっと一杯」のようなものがなく、外食しようと思ったらわざわざ誘わなければならないのだが、アラフォーのおっさんとコロナ禍という諸条件も重なって誰かを誘うのもつい億劫になってしまう。

振り返ってみるとここ2年間、プライベートで誰かと2人で食事をする機会なんてめっきり少なくなってしまった。

あぁ、エリコさんから連絡来ないかなぁ。

また会う約束を頼りにずっと待っているわけだけれど、僕はこのまま50歳、60歳とあっという間に歳を取っていくのでしょうか。

それじゃ、生きることの意味は?

なんだか無性に焼肉が食べたいなぁ。

宮古牛(高級)

宮古牛(高級)

『人生はそれでも続く』読売新聞社会部「あれから」取材班


出典:amazon.co.jp

日本初の飛び入学で千葉大学に入学した17歳、「王子様」というキラキラネームを改名した18歳、「佐村河内守」のゴースト作曲家、松井秀喜を5敬遠した高校球児、摂食障害に苦しみ窃盗で7度も逮捕されたマラソン女王、バックドロップで対戦相手を死なせてしまったプロレスラー、妻と娘2人を殺害された42歳など・・・

当時メディアを賑わせた当事者たちのその後の人生を追った読売新聞の人気連載「あれから」をまとめた本書。

さすがに新聞記者だけあって、当事者への取材に基づいて書かれた文章は読み応えがあり秀逸で、かつ内容も面白く夢中になって一気に読んでしまった。

通り魔的事件で妻子を殺害された42歳の男性が一番悲惨でその後の人生における苦しみが印象に残っているが、住宅に侵入して6人も殺害しておいて心神耗弱により無期懲役とは裁判官は一体何をやっているんだ、という憤りを感じた。

その他のエピソードも有名人になって注目されたからといってその後の人生が幸せとも限らず、その逆もまた真である。

様々な人生を通じて幸せについて考えさせられる、とてもおすすめの一冊だ。

『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』井上荒野


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タイトルと表紙の絵に惹かれて購入。

この著者のことは知らずてっきりノンフィクション本だと思っていたのだが、そうではなくて小説だった。

内容は元編集者で人気小説講座の講師を務める妻子ある男が、小説家を目指して講座を受講する才能ある若い女性に手を出すというもの。

「小説家になりたければ俺と寝るんだぜ。ゲヘヘ」という、芸能プロダクションなどではよくありそうな話だが、明らかな暴行や脅迫を用いたいわゆるレイプとは異なり、自らの権力と信頼関係を利用して断れない状態に持って行くソフトレイプと言えるものだろう。

刑法で裁くのは難しいかもしれないが、被害にあった主人公女性の追った傷は深く、小説が書けなくなり葛藤した挙げ句セクハラで告発するが、夫との関係悪化や周囲からの詮索などのセカンドレイプに苦しみながらも徐々に回復していく様子が巧みな女性心理の描写と共に描かれている。

ノンフィクションとして読みたい内容だったが、十分に楽しめる小説でした。

しかし、性衝動があるとは言え強制を伴うセックスなんて全く興味を持てないのだが(年を取ればなおさらである)、世の中には似たような事例が多いんだろうなぁ。

『他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え』「裏モノJAPAN」編集部[編]


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こちらもタイトルに惹かれて購入した本。

雑誌『裏モノJAPAN』に連載された、偉人ならぬ街のおっさんたちが若い頃の自分に伝えたい人生の教訓集。

居酒屋で絡んできた酔っ払いのおっさんに言われたら完全に相手にしないだろうけれど、活字にするとそれなりに面白いから不思議なものである。

この雑誌(『裏モノJAPAN』)は知らないのだが、人生の教訓と言われるともう少しシリアルかと思いきや、下世話でどうでも良い話も多いので、暇つぶしに読むのならともかく役に立ちそうな話はなかったかな。まぁ、僕もアラフォーなんで伝える側の年齢なのもあるけれど。

それにしても、なんで若い頃の自分に伝えたいのが下ネタばかりなんだよ(笑)。

『伊藤真の会社法入門』伊藤真


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会社法は条文の数が約1,000条もあるにもかかわらず1つ1つの条文が長く、かつ条文学習がキモとなるので初学者にはとにかく苦痛を伴う科目である。

しかし、ある程度仕組みを理解してしまうと他の箇所にも応用が利き、他の法律科目とは一風異なったシステマチックな理系の頭が要求される科目だと思う。

本入門シリーズは全体を俯瞰して理解することができるので初学者にはとりわけおすすめだが、伊藤真の解説を読んでいると、難解な会社法も簡単な科目に思えてくるから不思議である。