アフターコロナで読んだ本まとめ⑦

バルセロナで食べたシーフードパエリア

はじめに

パエリア食べたいなぁ。

スペイン語の勉強しているとpaella(パエリア)の単語が頻繁に出てくるし、スペインの風景や現地で食べた食事を思い出すんだよな。

バルセロナで食べたシーフードパエリア

バルセロナで食べたシーフードパエリア

シーフードパエリア、イカスミパエリア、タパス、生ハム、オリーブ、スペインビールにサングリア、新鮮なオレンジジュースにカフェ・コン・レチェ(ミルク入りコーヒー)、そしてまだ見ぬ本場のバスクチーズケーキ。

バルでいただくサングリアと魚のフライ

バルでいただくサングリアと魚のフライ

あぁ、スペイン料理が恋しくて仕方ないよ。

しかし、アラフォーのおっさんとは孤独なもので、女性同士みたいに「今度梅田でスペイン料理食べに行かない?きゃはは」みたいに気軽に誘える人いないや。

士業の会で飲みに行くことがあったとしても無難な居酒屋になるし、スペイン料理を提案してもその声は無残にもかき消されそうなんだよな。

スペインみたいに1人でも気軽にサッと立ち寄れるバルが近くにあったら良いんだけど。

夜にわざわざ1人でスペイン料理を食べに行くのも気が引けるから、今度美術館行った帰りにでもスペインバルを探してみるか。

¿Te gusta la paella?

『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン


出典:amazon.co.jp

会社員とイラストレーターという2足のわらじを履くも、金と名声を求める競争社会に疲弊し、自由な時間を得るために会社を辞めたアラフォー韓国人男性のゆるい人生哲学。

自己啓発書の類いは「頑張れ」とか「とにかくやってみることだ」などと書かれていることが多くて自分なりに十分頑張っている身からしたら途方に暮れることも多いのだが、何もしない時間の贅沢を享受している著者による「頑張るな」とのメッセージが込められた本書は斬新で心が癒される。

古代の哲学書にも通じるところがあるけれど、古代ギリシャやローマの哲学者たちも今でいったらニートのような人も多かったのかもしれないな。

僕も自分のやりたいことをやる時間を犠牲にしてまで稼ぐお金に興味はなく、現金でサッと買えるくらいのお金があったら買うけれども、タワーマンションや高級車など無理して欲しいとも思わない(むしろ、山奥のポツンと一軒家が欲しい)。

お金よりも時間の方がはるかに大事であり、生活をするだけのお金があれば後は世界を旅したり、勉強したり、本を読んだり文章を書いたりすることに時間を費やす方が有意義な人生を送れるように思う。

結婚していて家族を養う義務があるならともかく独身であれば無理して稼ぐ必要もないわけだし、なんだかまた世界を旅して文章を書きたくなってきたなぁ。

人生の貴重な時間を切り売りする現代社会に疑問を抱く著者は同年代ということもあって共感できるし、翻訳もまるで本人が書いているかのように素晴らしく(韓国語と日本語が近いせいもあるかもしれない)、とても楽しく読むことができた。

『ソクラテスの弁明』プラトン


出典:amazon.co.jp

石工をやりながらアテナイ(アテナ)の街角で人々と対話した古代ギリシャの哲学者ソクラテス。

そういえば、アテナを観光した際、ソクラテスやプラトンが哲学論を交わしたアゴラ(広場)も訪れたなぁ。

ヘファイストス(テセウス)神殿

【ギリシャの広場】アテネのローマン・アゴラと古代アゴラを観光

2018年10月7日

裁判官や検察官もいない古代アテナイの裁判所では、訴えられた被告人(本書ではソクラテス)と訴えた訴追人が裁判員である民衆の前で弁論を行い、民衆の投票によって有罪か否か、また有罪の場合は訴追人と被告人が提案した刑罰のどちらを科すかが決定される。

結局は死を恐れずに正論を説いたソクラテスは死刑を科されることになるのだが、本書では「神々を信じていない」などの罪で訴えられたソクラテスが、法廷の場で民衆の前で弁明をする様子が弟子のプラトンによって描かれている。

キリストやブッダと同じように2,000年以上もその教えが伝わるソクラテス。

お金や名誉ではなく、魂や徳の大事さを説くソクラテスに胸キュンです。

『特殊清掃』特掃隊長


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孤独死、自殺や病死などで死体が放置された後の汚部屋の清掃に長年携わってきた男性の日記。

人間の肉体は死後に腐敗して液体となり、ウジやハエがたかって悪臭が発生する(食事中の人ゴメン)。

汚部屋の掃除から『おくりびと』のように死体の身なりを整えるこの仕事はきつくて汚い仕事の代表格だと思うが、汚れたままの部屋を放置しておくわけにもいかず、誰かがやらなければいけない仕事なのだろう。

本書は元はブログで書かれていたのを出版したものだが、大ヒットした『交通誘導員ヨレヨレ日記』などの日記シリーズと同じく日々の業務が淡々と綴られていて、興味深く読むことができた。

人生の時間は有限であり、いつ死が訪れてもおかしくないことや、「人は死んだらどこにいくのか」といった死生観について考えさせられる良書でした。

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』松尾豊


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AI(人工知能)研究の第一人者によるAIの歴史・現在・未来について分かりやすく解説された本。

AIと言えば興味深いのが、AIが人間の知能を超えて自らAIを生み出すシンギュラリティ(技術的特異点)が2045年に起こると言われていることだ。

単純に計算や記憶などの能力に関してはAIが人間を遙かに凌駕するのは当然だと思うし納得がいくのだが、人間が持っている肉体、意識、心や感情がAIに備わらない限り、人間がAIに支配される未来は訪れないのではなかろうか。

個人的には、「AIによって翻訳の仕事はなくなる」などと、ちょっと機械翻訳に触れただけでいたずらに人を不安にさせるようなことを言ってくる人がいるのがウザいんですけど。

機械翻訳にしても、単純に過去の膨大なデータに基づいてテキストを置換することはできても、文章には生の経験に基づいた書き手の思考や感情が存在しており、AIが読み手の共感を得られる優れた小説を書くことができないのと同様に、翻訳も文章を書く仕事である以上完全にはなくならないと思うんだよなぁ。

仮にAIによって仕事がなくなったとしたら僕は南の島でのんびり小説でも書くことにしますよ。

え?AIは代わりに働いて納税して養ってくれるんじゃないの?AIも意外としょぼいですね。

『図解 いちばんやさしく丁寧に書いた合同会社設立・運営の本』中島吉央


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税理士・行政書士である著者による合同会社設立を分かりやすく解説した本。

合同会社とはアメリカのLLC(Limited Liability Company)の日本版とも言えるもので、株式会社のように所有(株主)と経営(取締役)が分離しておらず、所有も経営も社員が行う仲間内で設立された人のつながりが強い会社のことで(AmazonやGoogleなど米国企業の日本法人が合同会社になっているケースも多い)、株式会社よりも安く設立することができる。

合同会社の説明、設立手続きに必要な書類の種類や作成方法、設立後の届出など、設立の流れが一通り分かりやすく書かれているので、自分で設立される方はこの本を見ながらやれば十分に対応可能だと思う。

ただ、専門家である司法書士に頼んでもせいぜい数万円程度の費用が増えるくらいなので、個人的には会社設立は司法書士と相談しながら進めるのがベストだと思う。