アフターコロナで読んだ本まとめ⑥

Kindle

はじめに

京都大学の法学者である潮見佳男先生が急死されたという情報が広がっている。

彼の民法の本は読んだことがないものの、天才と呼ばれる法学者が亡くなることは法律界にとっては大きな損失だし、ご冥福をお祈りします。

法学部や法科大学院に通う人は学者本を読む機会も多いだろうけど、単純に資格試験の勉強していると、余計な情報も書かれている学者本ってついつい敬遠しがちなんだよな。

さて、今回ご紹介する本は全てKindle Unlimitedで読んだものだ。

僕は電子書籍より紙の本が好きなのだが、たまに読み放題のKindle Unlimitedで2ヶ月99円とかのキャンペーンがやっているのでその機会にKindle本をまとめて読んだりする。

Kindle Unlimitedの本って、たまに読みたい本も見つかるんだけど、新刊書籍がほとんどなくて昔の本かよく分からない素人が書いたような本も多いので、暇を持て余しているのでもなければ会員になる価値はあまり感じない。

Kindleは移動中や旅行中には便利だし、暗い場所でも読めるのは良いんだけど、スクリーンで文字を読むとどうしても流し読みになってしまうだよなぁ。

『カルト宗教やめました。』たもさん


出典:amazon.co.jp

エホバの証人2世である著者が、息子の病気をきっかけに夫と共にエホバの証人から脱会したその後の様子を描いたマンガ。

エホバの証人の教えとは、ハルマゲドンによって世界は滅び、エホバを信じている人は地上の楽園で永遠に生きられるというものである。

エホバの証人は宗教上の理由で輸血を拒否することで知られているが、エホバの証人である患者が輸血拒否していたにもかかわらず、患者の同意なく国立病院の医師が輸血したことに対して国および医師が訴えられた憲法上の判例が有名である(自己決定権の尊重を理由にエホバの証人は勝訴している)。

エホバの証人は恋愛だけでなく大学への進学や就職も制限され、脱会した後も一般世間の感覚との違いに戸惑いが生じたり信者からの誘いが続いたりと苦労が伴う(特に、依然信者である家族との関係は難しいようである)。

カルト宗教が話題になっている今、本書はエホバの証人についてマンガで楽しみながら理解できるので、興味がある方は是非。

しかし、安倍さんの事件を見ても思うに、宗教を信じるのは本人の勝手だけど、家族や周りの人には迷惑かけないでもらいたいなぁ。

『無(最高の状態)』鈴木祐


出典:amazon.co.jp

自己をコントロールして無我の境地に至ろうという内容の本。

悪くはないんだけれど、仏教や哲学の教え、脳科学などをごっちゃにしたような感じでイマイチ印象に残らず、それぞれの分野の本を個別に読んだ方が面白いかな。

自らの脳みそが作り出す物語(過去の嫌な記憶とか)によって不安や恐怖などネガティブな感情を抱きやすい人は、本書に書かれていることを実践すれば役に立つと思う。

Amazonでの評価がやたら高いと思ってたけど、ブログで月間250万PVとか達成した人なのね。

人気ブロガーとかYouTuberの本って、ファンが購入してレビューを書くのか、中身に比してやたらと高評価になる傾向があるんだよな。

それにしても、本書にある通り現代的な生活をする我々よりも、昔ながらの生活をする狩猟採集民族の方が幸せな人生を送っているのなら、人間は何のために発展しようとしているのか分からんな。

『1%の奇跡にかけて: 25年、摂食障害と闘い続けた元弁護士の実話』mimi


出典:amazon.co.jp

母親との関係が原因で高校時代に摂食障害になり、それから25年間、現在でも摂食障害に苦しむ女性の物語。

著者は京都大学法学部に進学し、司法試験に合格して弁護士になるものの、体重は20kgまで落ちてしまい仕事を続けられなくなり弁護士を辞めてしまう。

チューイング(口に含んだ食べ物を戻す行為)を繰り返して医者に通っても摂食障害は治らないが、幼少時から愛情を注がず、否定して怒鳴りつけるばかりの母親を精神病院に入院させた方が良いかと思ったよ。

カルト宗教の2世信者もそうだけど、いくら優秀でも毒親を持ったら大変だよな。

著者は弁護士を辞めてから療養しつつもウェブライターの仕事を続けるが、現在でも食べられるのはシリアルやドライフルーツなど限られたもののようだ。

京大法学部も司法試験もすんなり合格しているところを見るとかなり知能が高いんだろうけど、高すぎるIQは生物学的に危険って聞くし、そういう人って脳が敏感で精神疾患になる可能性も高いのではないだろうか。

摂食障害が深刻な病気であることを思い知らされるマンガでした。

『他人を攻撃せずにはいられない人』片田珠美


出典:amazon.co.jp

他人を攻撃せずにはいられない人は不安と恐怖に囚われており、他人を無価値化することによって自分の価値を確認しようとする。

メディアにもたびたび登場する精神科医による本書では、職場や家庭における攻撃欲の強い人たちの特徴や対処法が分かりやすく書かれている。

サイコパスや自己愛性人格障害などについて書かれた本は多いが、脳科学、精神医学や心理学の専門用語がほとんど使用されていないのが本書の特徴だろうか。

誰でも身の回りの人間に当てはめて読むことができるけど、最近はこの手の本を読んでいると過去に出会った嫌な奴のことを思い出してイライラするようになったよ。

他人より優位に立ちたいというのは人間の本性であり、理性や知性、愛情や同情によってそれを抑えているか否かが大きな違いで、要は攻撃的な人ってのは野生動物に近いと思うんだよな。

しかも、動物とは違って手ではなく巧妙に口出ししてくるから対処もしづらい。

まぁ、幸いにも僕は自営業だしプライベートでも他人に依存する必要がないからそのような人たちと一時的にならともかく恒常的に関わる機会はないんだけれど(組織の中でそのような人たちに足を引っ張られたくないから自営業だという理由もある)、攻撃的な人に悩まされているなら本書は読んでおいて損はないと思う。

ちなみに、この手の本ではサイコパスのことがよく分かるマーサ・スタウトの『良心をもたない人たち』が一番良かったかな。


出典:amazon.co.jp

『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』川畑智、遠藤英俊、浅田アーサー


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第1章では認知症である本人が見ている世界とその家族やケアに携わる人が見ている世界との相違、第2章では理学療法士である著者が実際に経験した事例に基づいて認知症の人にどのように接すれば良いかが描かれており、各章のマンガの後には理学療法士および医師による解説がなされている。

認知症は高齢や病気が原因で認知機能が衰えて日常生活に支障が出てくる状態を言うが、脳の機能が衰えただけで感情やプライド(高齢者ならなおさら)などは残っており、どうせ言っても分からないからと無下に扱うのではなくその人の症状に合わせて思いやりを持って接することが大事である。

僕は司法書士として後見の仕事には携わっていないので認知症の人に関わる機会はないのだが、数百万人の認知症患者がいる現代において認知症は身近なものであり、専門家にかかわらず誰でも一生のうちに認知症に関わることになる可能性は高いだろう。

高齢の家族や近所の人たちだけではなく自分自身も将来的には認知症になる可能性が十分にあることを考えると、まずは認知症について知識を得た上で、地域としての支援体制を構築していくことが不可欠に思える。

しかし、認知症に携わるのが著者みたいな優しい人ばかりだったら良いけど、実際には介護の仕事を嫌々やっていて虐待する人もいるんだろうなぁ。

『彼氏いない歴もうすぐ30年モテないアラサー女が婚活してみた話』ワタシはタワシ


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30年間彼氏がいなかった女性がお見合いサイトを利用して婚活を始める。

嘘の顔写真とプロフィールでメッセージが大量に来るようになり、イケメンでプロフィールも良い男性と意気投合して会うことになる。

ところが、その場に現れたのは全くの別人(女性本人もプロフィールを偽っているので別人)だったという、マッチングアプリなどではよくある話を描いた(良い意味で)クソみたいなマンガ。

くだらなくて結構好きなんだけど、Kindleって素人がネットにアップしているような本やマンガ多いよなぁ。

ところで僕の話だが、マッチングアプリをやっていたときに上の角度から撮った顔写真だけを載せた雰囲気美人とやり取りしていて、食事に誘われたのでなんとなく気が進まないながらもとりあえず行ってみたのだが、現場には小錦みたいな体型の人が現れたことを思い出した。

体型で言えば背の低い人も高い人も好きだけど、太っている人だけは無理なんですよ。

マッチングアプリなんて、期待感が大きい分、実際に会った時に絶望感、拒否感や違和感を覚えることがほとんどなんだけど、気が合う人がいたらそれはとてつもなくレアな人だから結婚したい人は勝手に脳内で作り上げた理想を追い求めるのではなくさっさと結婚した方が良いと思うぞ。

まぁ、もはや婚活などやる気のないおっさんには関係のない話なんだけど、将来的に弁護士になったら結婚詐欺を専門に取り扱うのも良いかもな。