2022年5月21日、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで開催されたアリス=紗良・オットのコンサート(ピアノ・リサイタル)に行ってきたのでそのレポートをしたい。
コンサート当日、まずはJR大津駅を目指す。
JR高槻駅から大津駅までは新快速一本で結構近いかと思いきや、途中から湖西線(琵琶湖の北側を走る路線)に入る電車に乗ってしまったらしく、京都駅で乗り換える羽目になってしまった。
大津駅からびわ湖ホールまでは徒歩で20分程度と結構な距離。
この日はアリスさんのコンサート時間に合わせてバスも出ていたようだが、コンサート前に昼食を取ろうと早めに到着したので、タクシーに乗るか迷った挙げ句結局歩くことに。
大津駅から琵琶湖に向かう通り沿いには裁判所があるからか、歩いていると法律事務所をよく見かけた。
琵琶湖沿いに伸びる遊歩道を歩いてびわ湖ホールへと向かう。
この日はあいにくの曇り模様だったが、琵琶湖を眺めながら遊歩道を歩くのは心地良く、タクシーではなく徒歩を選択して正解だったように思う。
びわ湖ホールに到着したのは午後12時過ぎだったが、びわ湖ホール内にあるレストランでランチをいただいてから(後述)、午後1時の開場時間までびわ湖ホール内で時間を潰す。
椅子に座ってぼーっとしていると、最近テレビによく出ているウイルス学者らしき人を見かけた。
「この人どこかで見たことあるなぁ」と思ってつい凝視していたら、向こうも視線に気付いて「バレた」と思ったのか見つめ返してきて、思いがけずおっさん同士で恋に落ちた瞬間みたいになってしまった。
午後1時を過ぎて入場。
コンサートが開かれる大ホール前では簡易ショップが設けられており、アリスさんのCDが並べられていた。
ちょっぴり覗いてみると、『Echoes Of Life』のCDまたはDVD付きCDを購入したらアリスさんのサイン入りポストカードが特典で付いてくるらしい。
そんなんせこいやん。
たかだか3~4,000円程度の出費を惜しんでここで買わへんかったら今後長きに渡って後悔するのが目に見えているのに買わへんなんてできひんやん、普通。
結局、取材に来ているのか大きなテレビカメラに間近でショッピングの様子を映されながら、列に並んでアリスさんのDVD付きCD(3,850円)を購入することに。
午後2時のコンサート開始が近づいてきたところで大ホールへと入る。
僕の席は、最前列の向かって右側の列の一番左側(真ん中側)の席だ。
チケット発売開始と同時に死に物狂いで確保した席だったが、僕の席からはピアノの鍵盤と手元は見えないものの、奏者の顔が真横からよく見える。
この日のコンサートは休憩なしの70分。
途中でトイレに行けないし、アリスさんに会えると思うと緊張して何回もトイレに行ってしまったよ。
なんか、ミスが許されない司法書士試験の受験前よりも緊張したな。
午後2時になり、アリスさんが舞台脇から颯爽と登場。
実物のアリスさんは思っていたよりもずっと綺麗な人でした。
小さな顔、サラサラの髪に透き通るような白い肌、モデルのようなスラッとした体形でかつグラマー。なんか、天に選ばれた人だと思ったわ。
服装はパンフレットやCDジャケットと同じような濃い青と黒の組み合わせで、どこか袈裟を思わせる僧侶のような出で立ちに裸足と、神々しささえ漂わせている。
はっ
ひょっとすると、あなたはお釈迦様の生まれ変わりなのですか。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
美しいアリスさんを見ていると、なんだか自分がようやく知性を身に付けたサルに思えてきたわ。
ウッキッキー、ウキキ?(訳:アリスさん、バナナ食べる?)
演奏開始に先だって、アリスさんから数分ほど日本語でのスピーチがなされました。
「日本は食べ物美味しいねん。コロナ禍で久しぶりにみんなに会えてめっちゃ嬉しいねん」(※実際はもっと上品な言葉遣いです)
他にはYouTubeのメッセージ動画にもあったような『Echoes Of Life』の解説。
日本語は普段あまり使わないのか翻訳して暗記したと思われるような固いセリフもあったけれど、日本語は上手いし何よりも素のアリスさんが見られて感動したよ。
演奏曲は『Echoes Of Life』の収録曲と同じで、休みなしの65分。
アリスさんがピアノを弾いている後ろのスクリーンには、建築家ハカン・デミレルのデザインによる幻想的な建築の映像がアリスさんの演奏に合わせて流されていた。
最前列の席だと近すぎて演奏しているアリスさんか映像かのどちらかしか見られないから、ピアノを弾いているアリスさんに夢中で映像ははっきり言って見ている暇がなかったよ。
後ろの方の席だとアリスさんも映像も全体が見られるからそれはそれで別の感動があるかも。
上品にピアノを弾いているかと思いきや、時折何かが乗り移ったかのように髪を振り乱して鍵盤を激しく叩きつけるアリスさん。
生演奏は普段聴いているのとは臨場感がまるで違い、夢中になって聴いていると65分間はあっという間だった。
アリスさんは演奏中何度か客席の方を見たけれど、横を見ると一番最初に視線が合う席だから最高の席ではないかと思ったよ。
演奏中に騒ぎ出す子どもがいてアリスさんがハッとする表情をしたり、大きな咳払いを繰り返すおっさんもいたりしたけれど、会場は概ね静かだった。
感覚過敏の僕はノイズを出されると集中力が途切れてしまうので映画館も苦手なのだけど、生理現象はある程度仕方ないとは言え、1時間程度も静止できないようならピアノコンサートに来る資格はないと思うんだよな。
それはともかく演奏は素晴らしく、完全に別世界にトリップしたような65分だった。
演奏が終わった後は拍手が鳴り止まず(コロナ禍で声が出せない)、舞台袖と舞台を何度も行き来するアリスさん。
拍手に応えてアンコール曲のサティ『グノシエンヌ第1番』を弾いて、それでも拍手は鳴り止まず、さらに何度か舞台袖と舞台を往復してコンサートは無事に終了。
『Echoes Of Life』はアリスさんのアルバムではあまり好きな方ではなかったけれど、生演奏は素晴らしくて、帰ってから聴き返しているとアリスさんの演奏がありありと思い出されるので、一気に好きなアルバムになりました。
出典:amazon.co.jp
しかし、おっさんはアリスさんのように美しくなれないとは言え、才能を発揮して多くの人に感動を与えている様子を見せられると、自分ももっと頑張らないと行けないと思ったよ。
とりあえず、ピアノ始めようかな(笑)
それはともかく、アリスさんお疲れ様でした。
感動をありがとう。
おまけ:「レストラン オペラ」での近江牛ランチ
この日は初めてのびわ湖ホールだったのだが、びわ湖ホール内の「レストラン オペラ」で食べるランチも楽しみにしていた。
お目当ては近江牛のロースステーキ。
「レストラン オペラ」のサイトでは3,480円だったのに3,800円に値上がりしていて、なかなか豪勢なランチである。
さすがに高級な近江牛だけあって、口に含むと柔らかいにもかかわらず全く胃にもたれる感覚がない。
宮古島で食べた宮古牛を思い出したが、この近江牛はひょっとすると宮古島出身の親戚かもしれないな。
味付けはちょっと濃かったが(高級肉の味付けは最小限が好ましい)、近江牛ステーキはボリュームもたっぷりで美味しかった。
びわ湖沿いのレストランと聞いていたのでもっとおしゃれなレストランかと思いきや、湖面が少し見える程度で、なんだか市役所にあるような飲食スペースみたいで多少がっかり。
せっかく良いロケーションにあるならびわ湖沿いにオープンテラスでおしゃれな感じにすれば良いと思うのだが、日本のダメな所って、観光名所のレストランでも効率を重視して多くの顧客に対応するためにパーキングエリアの飲食スペースみたいになっているところだと思うんだよな。
と思ったら、市役所チックな飲食スペースの隣にそれなりにしっかりとしたレストランの座席スペースがあるのを後から見つけました。
さて、事前にレストランのサイトを見ていると美味しそうなマンゴーパフェがあったので、エリコさんおすすめの琵琶湖とパフェを堪能しながら思い出に浸ろうと思っていたのだが、残念なことに当日のメニューにパフェらしきものは見当たらなかった。
マンゴーパフェ、食べたかったなぁ。
コンサートには満足しながらも、唯一の悔根を胸に抱いてびわ湖ホールを後にした。