コロナ禍で読んだ本まとめ㉔

読書

はじめに

司法書士会の懇親会に参加してきた。

近くに座るのは会長だったり弁護士法人&司法書士法人を経営している人だったりと、何の因果なのか、最近一緒に飲んで話す人って何故か社会的地位が高い人が多いように思う。

まさかこれは類が友を呼ぶというやつですか。

若い頃の自分なら恐縮しちゃうかもしれないけれど、おっさんも色々と経験してきたからか、それとも自分の脳みそにそれなりに自信を持てたからか、あるいはそもそもどうでも良いからか、他人の肩書を見て態度が変わることってないなぁ。

そもそも人間は法の下に平等だという思いがある。

他人の肩書なんか結構どうでも良くて、僕は人付き合いでも仕事でも単純に「好きか嫌いか」で判断しているんだけれど、他人の社会的地位に興味がなくなると何故か周りに社会的地位が高い人が集まるという矛盾を感じている。

例えば弁護士になって弁護士会に入ったら周りは弁護士だらけになるだろうし、いざ自分がその立場になってしまうとそのことが当たり前になってしまって興味がなくなるというのもあるのかもしれない。

でも、それなりに肩書がある人は能力も人格も優れている割合が高いから(一部権力に溺れている人もいる)、話していてもノイズが少なく心地良いんだよなぁ。

よほど酒癖でも悪くなければ社会的地位の高い人で「○○に似てるー。あっひゃっひゃー」みたいな公の場で他人を貶めて楽しんでいるような人おらんもんな。

何の話でしたっけ。

あぁ、今年に入ってから初めての外飲みはコロナ禍前に戻ったようで楽しく、成功者と知り合いになりたいなら自分が成功者になった方が早いんじゃね?と思った話でした。

さて、今回ご紹介する最初2つの本は自分に権力があると思い上がった人間による残虐な行為に戦慄すると共に、歴史的な価値がある素晴らしいノンフィクション本だけど、特に『重要証人: ウイグルの強制収容所を逃れて』は現在進行形のウイグル人権問題がよく分かる本なので、よく知らない人には絶対に読んで欲しいなぁ。

いつか旅行で行きたいと思っていたけれど、もはや中国とロシアは体制が変わらない限り行く気せんわ。

『ソ連兵へ差し出された娘たち』平井美帆


出典:amazon.co.jp

新しい生活を夢見て岐阜県から満州に移住した黒川開拓団だが、日本の敗戦後、現地民による襲撃、進駐してきたソ連軍による略奪や強姦に悩まされるようになる。

ソ連軍司令部に数百人の団員の命を守ってもらうため、黒川開拓団は未婚の若い女性を「接待」と称してソ連軍に差し出すようになる。

大人たちの勝手な意向によって戦争の犠牲となり、何とか生き延びて日本に引き揚げた後も周囲から差別的な扱いを受け辛い人生を送ることになった女性たちの物語。

女性たちの悲劇には心を痛めるが、本書はインタビューや調査を元に満州開拓団の内情がよく分かる素晴らしいノンフィクションだった。

それにしても、満州を占領した日本軍にも当然責められる部分はあるのだが、ウクライナ侵攻を見てもロシア軍(ソ連軍)は強姦を戦争の道具として使用している気がしてならない。

『重要証人: ウイグルの強制収容所を逃れて』サイラグル・サウトバイ、アレクサンドラ・カヴェーリウス


出典:amazon.co.jp

東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)の田舎での自然に囲まれた子ども時代、中国人(漢人)が少しずつ侵略してきて自然や自分たちの伝統・文化が破壊されていく様子、漢人との摩擦がありながらも聡明さを発揮し大学で優秀な成績を収め医師や実業家として成功していく様子、中国語の教師として連行された強制収容所での地獄(待遇は収容者よりはマシだったようだが)、そして自分自身が収容者となる寸前にパスポートなしで国境を越えてカザフスタンに逃げ独裁政権の圧力を受けながらも裁判で証言し、ついには一家でスウェーデンに亡命することになるカザフ人女性について書かれている。

ウイグル人弾圧に関する本は今まで何冊か読んできたが、人生を通じて中国共産党による弾圧を経験してきたサウトバイ氏へのインタビューに基づいて書かれた本書は臨場感が半端なく、これまで読んできたウイグル関連の本の中でも一番印象に残っている。

本書を読んでいると、ナチスの強制収容所について書かれたヴィクトール・フランクルの名著『夜と霧』を思い出した。

サウトバイ氏は現在、強制収容所における拷問などの経験を通じた身体的および精神的後遺症に苦しみ、中国共産党による脅迫に怯えながらも、彼らの極悪非道な行為を世界に知らせるために活動を行っている。

1人の女性の人生を通じてウイグル人弾圧の実情がよく分かる本書、おぞましくも素晴らしい一冊なので、中国の仮想敵国の2位である日本に住む我々としては是非読んでおきたい本である。

『最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』アンデシュ・ハンセン


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『一流の頭脳』『スマホ脳』がベストセラーとなったスウェーデン出身の精神科医による最新作。

全く新しい内容の本かと思いきや、これまでの作品のエッセンスが子ども向けに優しく解説された本のようで、その内容を一言で表せば「脳には運動が一番だ」ということになる。

運動が脳に良いことは、ギリギリまで勉強や頭を使う仕事をしているとその効果がよく実感できる。

僕も司法書士試験の勉強をしていた際、「もうこれ以上入らんわ」と思っても、1時間程度ランニングをすると不思議と眠った後のように脳がスカッと整理されて容量がアップしたように感じられたものだ。

脳を酷使しない生活だと運動の脳に対する効果は実感しづらい面もあるが、著者の言うとおり週2~3回、1回30分程度の運動を継続することは、日常生活に計り知れないメリットをもたらしてくれるように思う。

本書は簡単な内容なので、著者の本を読んだことがない人は『スマホ脳』から読んでみるのがおすすめ。


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『必ず取れる日本国籍! 帰化申請ガイド』小島健太郎


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行政書士による帰化申請の解説本。

帰化申請とは外国人が日本国籍を取ることで、完全に日本人になることを指すので永住権とは異なる。

帰化申請は法務局への申請が必要だが、専門家に依頼する際は弁護士・司法書士・行政書士となる。

本書は帰化申請の要件、必要書類や記載方法などをまとめたもので、ネットで調べたら分かりそうなことも多いが、これから帰化申請をされる方が手元に置いて参考にしたり、帰化申請についてざくっと理解したりするには役に立つと思う。