印象派を代表するフランスの画家であるクロード・モネの作品集を眺めていたところ、京都のアサヒビール大山崎山荘美術館にクロード・モネの『睡蓮』が展示されているという情報を得たので見に行くことにした。
出典:amazon.co.jp
大山崎山荘美術館がある大山崎町と言えば、大阪との府境にある田舎町で、サントリー山崎蒸溜所が近くにあることでも有名だ。
仕事で大きなプロジェクトが片付いたこともあって、この日は平日に散歩がてら訪れたのだが、大山崎山荘美術館の最寄りのJR山崎駅は高槻駅から7分程度と目と鼻の先である。
大阪から京都に数分でアクセスできるこの感動。
しかし、高槻は人口も多くてそれなりに都会だけれど、大阪と京都の府境は山ばかりで、少し行くと本当にド田舎なのが分かる。
JR山崎駅から大山崎山荘美術館までは送迎バスも出ているが、山道を徒歩で10分程度と散歩をするには丁度良い。
この日は4月にもかかわらず真夏の陽気で、自然に囲まれた山道を上っていると、息切れをすると共に花粉症で鼻水が止まらずマスクの中で息ができずちょっぴり死にかけた。
美術館には大きな荷物は持ち込み禁止になっており、入り口のレストハウスにある無料ロッカーで預けることができる。
僕は普段愛用している微妙なサイズのバッグをそのまま持って入ったところ何も言われなかったが、館内は邸宅だけあってそこまで広くないので、人が多いと預けるように言われるのかもしれないな。
美術館の周辺は庭園となっていて花が咲き乱れ、散策を楽しんでいる人たちもいたが、僕は花粉症の症状が一番酷い時期だったので今回はパスした(今年は花粉が多いような気がする)。
入館料は900円(一般)と安い。
お目当てのクロード・モネの『睡蓮』以外にも、館内には絵画を中心に数多くの作品が展示されていた(残念ながら、館内は撮影禁止となっている)。
この日は平日ということもあってか人は少なく、年配のカップルや主婦らしき人たちのグループをチラホラ見かける程度。
ところで、美術館が嫌いになる理由って、人が多いのもそうだけど、美術館の歴史とか大して興味ないアーティストの経歴や作品の解説文が多くて、情報過多で頭が混乱することだと思うんだよな(文字があると読まずにはいられない人)。
お目当ての作品や気になる作品以外は、ロクに頭に入ってこない解説を読まずに感覚でサクッと見て回る方が個人的には楽しめる。
クロード・モネの『睡蓮』は、安藤忠雄によって設計され「地中の宝石箱」と名付けられた地中館に展示されている。
コンクリート打放しの通路を通り、階段を降りてひんやりとした静寂に包まれた地中館に入ると、思っていたよりも遙かに大きなモネの作品が目に飛び込んできた。
モネの代表作である『睡蓮』が2つに『アイリス』が1つ。
自分の体よりも大きな作品で、まるで目の前に睡蓮の池が広がっているような錯覚にさせられる。
周囲の静寂と相まって極楽浄土にいるかのような心地で、作品の前に設けられた椅子に腰掛けて長い時間『睡蓮』に見入ってしまった。
さすが巨匠。
モネはゴッホやフェルメールほど好きではなかったけれど、本で見るのとはまるで迫力が違う『睡蓮』の実物には圧倒され、一気にお気に入りの画家になってしまった。
それにしても、1人で訪れる美術館もなかなかオツなものだな。
美術に興味がない人と一緒だったら30分もボーッと見入っていられないもんな。
『睡蓮』を見た後は、2階にある喫茶室でケーキセット(970円)をいただいた。
期間限定メニューであるリーガロイヤルホテル京都によるチーズケーキとホットコーヒーはどちらも上品な味がして美味しい。
喫茶室のテラスからは、京都南部に広がる大自然を望むことができる。
社会人になってからは京都に行く機会が減り、仕事でも勉強でも飲み会でも梅田方面に出ることが圧倒的に多いけれど、すぐ近くにこんな大自然があることを改めて認識させられた。
やっぱりアラフォーともなると都会よりも自然に囲まれた生活の方に心惹かれるな。
予想を超える『睡蓮』の感動にすっかりとテンションが上がった僕は、帰り際お土産に『睡蓮』の絵画と額縁、そして日傘をさす女のブックマークを購入した(合計3,830円)。
自然の中の散策、洋風のおしゃれな建物、クロード・モネの『睡蓮』、景色抜群の喫茶室と、大山崎山荘美術館は癒される要素たっぷりで、またふらっと立ち寄りたくなる美術館だった。
近くにお住まいの方におすすめなのはもちろん、クロード・モネの『睡蓮』は誰にでも一度は見て欲しい傑作だ。