コロナ禍で読んだ本まとめ㉑

バルカラの風景

はじめに

4月29日から始まる今年のゴールデンウィーク、月曜と金曜を休みにしたら10連休になるのか。

まだ旅行に行く気にもならず予定を全く立てていないんだけど、何しようかなぁ。

過去2年我慢していた分、今年は旅行に行く人が多いのかな?

ちなみに僕は本業の顧客は一般企業や官公庁が中心なんで休みも基本的にはカレンダー通りとなっている。

若い頃は急な仕事振られても徹夜で仕事したり連休前に仕事振られても受けたりしていたけれど、今では仕事を断ることの方が多い。

連休の直前にまるで嫌がらせのように大きな仕事振ってくる顧客なんて、付き合っていても精神衛生上よろしくないし、普通に縁を切るもんな。

普段からお世話になっていて良い関係を築けている人たちから急な依頼があったら喜んで受けるけど、そんな人たちに限って連休前に仕事を振ってくるようなことはない。

お金やキャリアと天秤にかけて仕事や顧客を選べるのは自営業の最大のメリットだと思っている。

お金は生活していくのに困らないだけあれば良いし、それよりも勉強や読書に費やす時間、旅に出る時間の方が自分にとってははるかに大事だったりする。

しかし、いざ仕事もせず旅行にも行かないとなると、やることないなぁ。

大阪に避難してくるウクライナ人の生活や行政手続きを英語でサポートするボランティアとかないのかな。ウクライナ語だけ?

大して役に立たないおっさんは今年も引きこもって予備試験とFP3級の勉強に励むとするか。

『インド残酷物語 世界一たくましい民』池亀彩


出典:amazon.co.jp

大学の准教授で社会人類学者である著者による、南インドでの滞在経験やフィールド調査中に知り合ったインド人たちとの対話を通じてインド社会(とりわけカースト制度)について書かれた本。

本書は堅苦しい研究書ではなく単純にインド滞在記としても楽しめ、未だインド社会に過酷な身分差別として残るカースト制度についてよく分かる良書だった。

僕が行ったのは南インドのケララ州だったけど、まるでカースト制度とは無縁であるかのように人は素朴で優しく、風景は美しく、食事はシーフードとカレーが最高に美味しかったからまた行きたくなってきたよ(本記事トップの写真はケララ州バルカラの風景である)。

『やめるな外科医 泣くな研修医 4』中山祐次郎


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現役の外科医による外科医を主人公とした医療ドラマの第4弾。

研修医を終了して30歳で医者6年目と順調に成長していく主人公の隆治だが、孤独の中で死と向かい合う2人の患者、恋人との対立、そしてある手術によって自信を失い外科医を辞めることを考えるようになる。

そして、涙を流さずにはいられない最後の別れのシーン・・・

本作はプライベートよりも医療現場での描写が多くてシリーズの中でもとりわけ楽しむことができた。

恋人のはるかはメンヘラ気質でどうも好きになれないし、仕事を言い訳に何ヶ月も放置している隆治も大概で、この2人のやり取りなんか結構どうでも良いんだよな。

それよりも、クールビューティで厳しいけれど実は優しい佐藤女医のプライベートをもっと知りたいよ。

いずれにせよ、著者は小説家並に文章力があるし、本シリーズは医療知識がなくても楽しめるおすすめの小説だ。

『コールセンターもしもし日記』吉川徹


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著者は大学卒業後にJAの全国連合会に勤めるも、離婚や母の死を経験し、病気によって退職してからは、30代以降派遣でコールセンターを中心に職を転々とするようになる。

世間的には分かりやすい転落例のようにも思えるが、本シリーズの真骨頂とも言える中年・壮年の悲哀が感じられてついつい引き込まれながら読んでしまった。

携帯料金を自分が期限内に支払わなかったせいで利用停止になるにもかかわらず電話越しにぶち切れる利用者の相手など、コールセンターの監督をしている(恐らくはそれなりに高給取りの)正社員とは対照的に使い捨ての低賃金(時給1,300~1,500円程度)でストレスのたまるクレーム対応をさせられる派遣社員の不条理さになんだか泣けてくる。

養育費を支払いながらぼろアパートに住んでギリギリの生活を送る著者だが、人生の唯一の楽しみとも言えるタイ旅行に行くくだりは面白かった。

息子のために結局はタイ移住を断念した著者だが、タイのコールセンターで勤務する続編があれば是非読んでみたいと思った(いつか本シリーズで出版して欲しい)。

他人の人生、そしてユーモアを交えながら頑張るおっさんの悲哀というのはなぜこんなにも面白いのか。

本シリーズを読むたびに、自分の人生も頑張らないとなぁ、と考えさせられる。

『マンガでわかる中学国語 古典』学研プラス、ユキムラ


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竹取物語、枕草子、平家物語、徒然草、和歌集、おくのほそ道、故事成語、論語、漢詩についてマンガで紹介されている。

代表的な古典文学をマンガで楽しく学ぶことができるので、教養として概要をザックリと知っておくには役に立つだろう。

僕は中学時代不勉強だったことも手伝って、古文や漢詩、日本史などは漢字がたくさん出てくることもあって未だに苦手意識を持っている。

本書では古文や漢詩の読み方も解説されているが、大人だと研究者でもなければなかなか使う機会はないだろうと思うので、マンガ以外の解説箇所は一通りサクッと目を通すだけにした。

しかし、『おくのほそ道』の作者である松尾芭蕉のような旅する歌人の生き方にはなんとも惹かれるものがある。

いとをかし。

『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』本田秀夫


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30年以上発達障害の臨床に携わってきた精神科医である著者による発達障害の解説本。

他の発達障害本と同様にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やLD(学習障害)などについて書かれているが、本書が特徴的なのは、発達障害の「重複」および「強弱」に焦点を当てて解説されている点だろう。

これらの障害は必ずしも明確に分かれるものではなく、それぞれの特性を重複して有している人や、発達障害として認定されなくてもそれなりの傾向を有していて生きづらさを抱えている人がいる(例えば、こだわりが強くてコミュニケーションが苦手だとか注意力散漫で時間にルーズだとか)。

発達障害の特性は生まれつきのもので完全に克服するのは難しく、自らや周囲の人たちがそのことを理解してサポートすることが必要だと著者は説く。

発達障害までは行かずとも誰でも何かしらの特性はあるわけで、脳科学や発達障害の本を読んだり専門家に相談したりして自分の脳の特性を理解しておくことはとても有用に思える。

どうやらASD傾向があってそれなりに高知能なのは分かったけれど、他者となかなか分かり合えない僕はどうしたら良いですか。

『伊藤真の民事訴訟法入門[第5版]』伊藤真


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これから法律を学ぶ方には特におすすめしたい伊藤塾の塾長による入門シリーズ。

やっぱり民事訴訟法は面白い。