コロナ禍で読んだ本まとめ⑮

文学

はじめに

寒い。小籠包が食べたい。

台湾で食べた小籠包

台湾で食べた小籠包

やたら冷えるにもかかわらず、花粉症の症状が出始めて頭がボーッとして書くことが思い浮かばないよ。

そんなわけで今回の前書きはこの辺で。

『ぎょらん』町田そのこ


出典:amazon.co.jp

「ぎょらん」と呼ばれる、人が死んだときに現れる死者が遺す最後の思いを伝えると言われる赤い珠をめぐる連作短編集。

町田そのこの作品は順不同で読んできて2作目である本作が最後になるけれど、まさか最後に読んだのが最高傑作だとは思わなかったよ。

52ヘルツのクジラたち』がベストセラーになったけれど、小説や文学好きの人は、文章の美しさが際立つ1作目『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』や2作目(本作)の方が好きなんじゃないかなぁ。

そのこさんはやっぱり短編集が魅力的で、長編作品で安易に不幸な女と暴力的な男を登場させて大衆に迎合しないで欲しいよ。

それはともかく、『ぎょらん』は思わず涙がこぼれてしまう良い作品集でした。次回作も期待しています。

『ゴッホ作品集』冨田章


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仕事終わりにクラシックやピアノをバックミュージックに、ビールでも飲みながらアート本を眺めるのが最近のリラックス方法になっている。

本書は、生前に1枚しか絵が売れなかったとも言われるオランダの不遇の天才画家であるゴッホ(享年37歳)の作品に解説を添えたものだが、大型本でゴッホの作品の魅力を存分に楽しめ、解説もくどくなくて読みやすい。

ゴッホの作品は色使いが印象的だが、中でも僕のお気に入りの作品は青と黄色が印象的な『夜のカフェテラス』(本書の表紙)、『黄色い家』、『星月夜』だ。

日本の浮世絵に影響を受け日本に憧れを抱いた画家ゴッホ、すっかり好きな画家の1人になりました。

コロナが明けたらオランダにゴッホやフェルメールの絵画見に行って、ついでにフランスの美術館巡りするのも良いな。

永久保存版にしたい1冊。事務所に置いておこうっと。

『高知能者のコミュニケーショントラブル: IQが20違うと会話が通じない』安間伸


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また読みたくなって今回読むのは2回目なのだが、コロナ禍で読んだ本の中では一番印象に残っている本かもしれない。

本書を読んでいるとついつい頷いてしまう部分が多く、もっと自分の脳みその中身を知りたいと知能検査(WAIS-IV)を受けるきっかけとなった本でもある。

僕のWAIS-IVの結果はIQ126で、恐らく他の知能検査を受けても120~130前後になるのではないかと思う。

日本ではごろごろいるレベルで著者が言うように中途半端な高知能者でしかないのだが、指数間の偏りは大きいし、HSPやASDの傾向はあると思っているし、そして何よりWAIS-IVでは測れない長期記憶力が良く、なんとかごまかしながらやってきたものの集団社会において生きづらさを感じてきたことは間違いない。

本書を読んで、まるで優秀な精神科医のカウンセリングを受けたかのようにスッと雲が晴れたような気がした。

本書で言及されている高知能者とはIQ130を優に越すレベルで、パッと思いつくのはノイマンやアインシュタイン、現在であればGAFAのような世界を変える企業を作るような人たちだろうか。

とりわけ日本のような集団圧力が強くて変わり者を排除する傾向にある社会では、変わり者でしかない高知能者は生きづらくて周囲に才能を潰されるケースも多いだろうけれど、著者の言うとおり、親や教師など周囲の大人が高知能の子どもをサポートすることで結果的に国力を伸ばすことにつながり、高知能者を上手く生かす土壌ができれば、日本にもアメリカのGAFAのような革新的な企業が生まれるようになるのではないかと思う。

本書の内容に共感できなければイライラさせられるかもしれないが、著者の軽快なノリがとても面白くて読みやすく、2回目にもかかわらず夢中になって一気に読んでしまった。

『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』長谷川和夫


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認知症を評価するための簡易テストである「長谷川式スケール」を開発した、自らも認知症になった精神科医による認知症の解説本。

著者は本書において、認知症になるとまるで別人になったかのような扱いを受けるが、本人からすると本人であることに変わりはなく認知症の前後で連続性があるもので、周囲の人間による認知症患者に対する接し方の重要性を説く。

認知症は以前は「痴呆」と呼ばれ、隔離されたり拘束されたりとまるで人ではなくなったかのような酷い扱いを受けていたこともあるのだが、高齢化社会を迎え認知症患者も増えるに伴い、もはや誰もが認知症に関わりうる社会となっている。

数百万人の認知症患者を抱える日本社会において、国民の認知症に対する理解を深め、各種専門家、家族や地域社会によるサポート体制を構築することは必須だろう(ちなみに、法律家としては財産管理をする後見の仕事がある)。

やはり優秀な精神科医による本は面白くて人格的にも優れた人が多いように思うが、キリスト教徒である著者の宗教的な信条と相まって、生老病死について思いを馳せずにはいられない良書でした。

ちなみに著者は最近、老衰のため亡くなられたそうだ。

良い本を残してくれたことに感謝すると共にご冥福をお祈りしたい。

『いちばんやさしい不動産の教本 人気講師が教える土地建物の基本と取引のしくみ』林秀行


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公認不動産コンサルティングマスターである著者による不動産の解説本。

不動産の概念、売買、管理、価格、税金、登記、不動産に関する法律や資格、金融ローンから不動産投資に至るまで、不動産に関する知識が幅広く身に付く一冊。

幅広い内容になっている分、通しで読むと少し退屈する点もあるのだが、「教本」というタイトル通り、手元に置いて教科書的に読むのには最適かもしれない。

行政書士および宅建士でもある著者は不動産に関する法律知識も豊富で、個人的には、合格率3%(現在は受験者数減により5%程度)の司法書士試験が難関試験であることや司法書士の幅広い業務内容が正確に記載されているのには感動した(そのような書籍は意外と少ない)。

不動産ビジネスに携わっている方やこれからマイホームの購入でも考えている方で、不動産に関する基礎的かつ全般的な知識を身に付けたい方は是非。

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