コロナ禍で読んだ本まとめ⑩

本

はじめに

東京都美術館でゴッホ展やっているのか。

見に行きたいなぁ。

若い頃は芸術なんて興味なかったけど、この年になってしみじみと芸術の良さが分かるようになってきたよ。

でも、独身のおっさんとは孤独なもので、誘いたい人はいても誘える人なんて1人もいないや。

同年代のおっさんと連れだって美術館に行ってもそれはそれで違和感あるしな。

これが旅行中であればせっかくの機会なので1人でも美術館とかガンガン行くんだけど、地元にいるとついつい日常生活を優先してしまうのかそれとも無意識のうちに周りの視線を気にしてしまうのか、なかなか重い腰を上げる気にならんわ。

でも、今度関西で気になる画家の展示会が開催されたら行ってみようかな。

仮にいくら成功したとしても、一緒に美術館に行く人もいないなんて虚しい人生だぜ。

誰か僕とゴッホ展を見に行かないか。ゴッホゴッホ

「芸術の秋」だけではなく「読書の秋」とも言いますが、この気温が下がる時期は鬱気味になるので読書も進まず、今回はレビューも少なめです。

『タクシードライバーぐるぐる日記』内田正治


出典:amazon.co.jp

気になるあの職業の実情と裏側が見られる大人気日記シリーズの最新作。

家業の会社が倒産して50歳でタクシードライバーになった著者だが、朝早くから深夜までひたすらハンドルを握り、客から罵倒を受けたりしながらも年収は大手タクシー会社にもかかわらずせいぜい500万円しかいかないというタクシードライバーの悲哀が読める。

タクシーが結構身近なせいか、本シリーズの中でもとりわけ読みやすくて好きになった作品である。

タクシードライバーが著者みたいな人ばかりだったら良いんだけど、短距離のタクシーを比較的よく使う人間としては、こちらに非がなくても態度が悪いタクシードライバーもいっぱいいるんだよなぁ。

『ウイグル人という罪─中国による民族浄化の真実─』福島香織、清水ともみ


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ウイグル人に何が起きているのか』の福島香織、『命がけの証言』の清水ともみによる共作。

上記の2作品を読んだ者としては焼き直しが多いのも少々気になるが、マンガと文章を交えてウイグル人の歴史および現状がよく分かる本となっている。

ウイグル人権問題に関心がある人には是非読んで欲しいが、『命がけの証言』ほどの衝撃はなかったので、初心者にはまず『命がけの証言』をおすすめしたい。

それにしても、最近はウイグル人権問題に関する本が次々に出てきて良い傾向となっているが、手遅れにならないうちに日本政府や国際社会が解決のために動き出す流れになって欲しいものである。

『星を掬う』町田そのこ


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ベストセラー『52ヘルツのクジラたち』の著者である、女性の不幸を書かせたら右に出る者はいない今最もおすすめの小説家・町田そのこの最新作。

本作では、小さい頃に母親に捨てられた女性がひょんなことから母親と再会し、他にも過去にトラウマを抱えた同居人たちと共に母親の家で一緒に暮らすことになるのだが、母親は若年性認知症を発症しており、過去の記憶はどんどん失われていく。

果たして、母と子の絆を取り戻すことはできるのか?

相変わらず(と言ってもまだ3作しか読んでいないが)町田そのこの作品は親に捨てられた子ども、親がいない子ども、そして虐待などのテーマが中心で、立て続けに読んでいると不幸の押し売りみたいでやや食傷気味にもなるのだが、それでもやはり最終章では目が離せず、最後には全おっさんが涙した。

52ヘルツのクジラたち』ほどのインパクトはなかったけれど、本作も面白く、また新作が出たら読みたいと思える作家である。

『元彼の遺言状』新川帆立


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「このミステリーがすごい! 大賞」の受賞作品で新聞にデカデカと広告が出ており、著者は東大法学部卒の若い弁護士というところにも惹かれたので読んでみた。

著者は元プロ雀士という経歴もあるので「一体どれだけ頭良いねん」という思いでページをめくってみたのだが、元々作家志望で東大法学部卒の弁護士という割には、ところどころ文章が稚拙に感じられた。

町田そのこの小説を読んだ後に読むと、なおさら文章力がないように感じる。

ひょっとするとIQが高すぎて事実以外の余計な情報を省くタイプかな?それとも、経歴が凄くて話題性があるから持ち上げられているだけだろうか?

まぁ、期待が大きすぎた反面がっかりした部分もあるのだが、サクッと読むことができてそれなりに面白かったし、特に最終章なんかは引き込まれる内容だった。

同じく作家志望としては、この経歴で若いにもかかわらずいきなり太宰治とか夏目漱石みたいな文豪並みの文章書かれてもそれはそれで天を恨みそうである。

続編を読もうとまでは思わないけれども、数年後くらいにまだ売れていたらまた手に取ることはあるかもしれない。

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