コロナ禍で読んだ本まとめ⑨

本

はじめに

6月以来休んでいたランニングを再開した。

コロナ禍が始まる前は季節にかかわらずランニングをしていたのだが、コロナ禍でマスク(バフ)をして走るようになってからは、真夏はランニングを休むことにした。

というのも、真夏にマスク(バフ)をして走っていると、自分の息が暑い(&臭い)し、10kmも走ると汗でビショビショになったマスクが張り付いて息苦しくて走っていられない。

肺も痛くてなんだか意識が飛びそうになるし、かといってマスクを外すと周りの冷たい視線が気になるしで、なんだかそこまでして走るのも馬鹿らしくなってきた。

ランニングをしていない間は筋トレとウォーキングをしていたのだが、加齢もあって太るスピードの方が早いので、これから冬に向けてランニングで体を絞る予定である。

全く、旅行は行けないわ、飲みにも行けないわ、ランニングもできないわで、コロナは僕の数少ない楽しみをとことんまで奪うつもりだろうか。

お陰様で、投資の腕はすっかり上がるし、司法書士事務所の開業は間近だし、貯金も増えたし、知能検査受けて自分の頭の中身は分かったし、読書する時間も勉強する時間も増えたじゃないか。

あれ?コロナ禍も悪いことばかりじゃないな。

苦しみの中にこそ喜びを見出す。

例え今置かれている環境がどのようなものであれ、己の心の自由を奪うことはできない。

その心持ちこそが、涅槃(悟り)へと至る道であると知る。

南無。

『アウシュヴィッツの地獄に生きて』ジュディス・S・ニューマン


出典:amazon.co.jp

アウシュヴィッツのユダヤ人強制収容所に収容され、家族は全員、そして同胞の多くが殺されながらも奇跡的に生き延びた女性看護師の物語。

同じ人間にもかかわらず、民族と宗教が違うというだけで人は何故ここまで残酷になれるのか。

筆舌に尽くし難い著者の強制収容所での体験には震え上がるが、ユダヤ人強制収容所だけでなく、シベリア抑留、ウイグル人弾圧、そして戦争にせよ、実際に体験しなければ決して分からない地獄があるのだろう。

同じく強制収容所について書かれたヴィクトール・E・フランクルの名著『夜と霧』にも劣らず感情を揺さぶられた本だった。

グロいのが苦手な方は心すべきだが、人類の負の遺産とも言えるこのような悲劇を二度と繰り返さないためにも、ユダヤ人強制収容所で何があったかは知っておいた方が良いだろう。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』ブレイディみかこ


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日本人である著者が、労働者階級である白人の夫とハーフでセカンダリースクールに通う息子とのイギリス・ブライトンでの生活を綴った物語の第2弾。

聡明な息子を通して、日本の詰め込み式教育とは異なるなんだか独創性を育むイギリスの教育システムが垣間見えて面白い。

集団文化や同調圧力の強い日本の学校にも陰湿な差別はあるけれども、多民族国家かつ歴史的に階級社会であるイギリスでは民族や階級によるはっきりとした差別があるのかも知れないと考えさせられた。

家族との何気ない日常を描いたものだが、相変わらず著者の文章センスは抜群で、前作と同じく物語に引き込まれて楽しく読み進めることができた。

イギリスの教育システム・生活に興味がある方や単純に文章を読むのが好きな方は是非。

しかし、著者の生活に大きな影響を与えていそうなコロナには言及がなかったけど、執筆時期的にまだなのかな?

『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』町田そのこ


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ベストセラー『52ヘルツのクジラたち』の著者のデビュー作。

本書は5作を収めた短編小説集だが、『52ヘルツのクジラたち』にも負けず劣らず素晴らしい作品集で、著者の文章と物語には相変わらず引き込まれる。

個人的には3番目に収録されている『波間に浮かぶイエロー』が一番好きかな。

社会人になってから小説を読む機会なんてめっきり減ったけれど、この作家の本を読むと若い頃の感受性が蘇ったようで、貪るように小説を読んでいた学生時代のことを思い出させてくれたよ。

小説はそれぞれが解釈して感動すれば良いと思っているので詳細なレビューを書く気にもなれないのだが、『52ヘルツのクジラたち』ファンはもちろん小説好きな方には是非読んで欲しい作品だ。

著者は同い年ということもあってなんだか親近感が湧くし、今一番応援したい作家である。

『憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2』井上達夫


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護憲派(憲法改正反対派)も安倍政権による集団的自衛権行使容認も解釈改憲として否定し、異端とも言える憲法9条削除論を唱える著者は、戦力の不保持をうたった憲法の明文を軽視すべきではないとして、憲法が大人たちの都合の良いように利用されていると嘆く。

これまで護憲派と改憲派の対立にはモヤモヤさせられていたのだが(それは、当事者たちの勝手な解釈によるものだろう)、本書を読んでなんだかスカッとした気持ちになった。

日本国憲法に関する基本的知識がないと本書はやや難しいかもしれないが、憲法(特に9条)に興味がある方にはとてもおすすめだ。

憲法9条に関する個人的な意見としては、著者が述べるように自衛隊は戦力であり、僕も憲法9条は改正が必要だと思う。

専守防衛の国防軍などを憲法に明記するか、別に国防軍ではなくても自衛隊のままでも良いので憲法には明記して欲しい。

今のままでは、自衛隊員はせっかく日本のために訓練で命を落とすなどして命がけで働いているにもかかわらず、「違憲(憲法違反)だから日本には要らない」などと言われたら肩身も狭いしモチベーションも下がるだろう。

遅くとも生きている間には国民の審判による憲法改正が実現することを願うばかりである。

『まんがで鍛える 脳の強化書』加藤俊徳、たみ、青木健生


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Prime Readingでサクッと読了。

脳内科医である著者は脳を機能別に8つに分けた脳番地を提唱しており、本書ではそれぞれの脳番地を鍛えるための方法が紹介されている。

他の脳科学の本とは一風異なり、脳の説明に終始するのではなく、初心者でも分かりやすく日常的な場面でできるトレーニングにフォーカスされているのが印象的だった。

そして、本書のストーリーは27歳の主人公の女が43歳の研究者の男にあっさり惚れるという、現実にはなかなか無い中年男性に希望を抱かせるものであった。

よっしゃ、おっさんも脳を鍛えて20代の女にモテモテだ!

『まんがで叶える 引き寄せの法則』Miko、城咲綾


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こちらもPrime Readingでサクッと読了。

どうしても叶えたい願いに対しては執着心を捨てることが重要なのだが、特に恋愛などにおいてはこれが容易でないことは皆さんご承知の通りだろう。

引き寄せの法則ではこの執着心を捨てるという部分が一番難しいと思うのだが、他の類似本では分かりづらく混乱してしまう部分も、本書では非常に分かりやすく書かれている。

絵柄もストーリーもついつい少女マンガを連想してしまうが、読みやすいので引き寄せの法則に興味がある方は是非。

よーし、僕も負けずに仕事と恋愛を楽しまなくちゃワクワクドキドキ。

アラフォーのおっさんの戯れ言はさておき、このまんがシリーズ、1時間くらいで読めるので気分転換には最適だ。

他の作品もPrime Readingで読めるものが多いので是非チェックしてみて欲しい。


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