コロナ禍で読んだ本まとめ⑤

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はじめに

コロナ禍で引きこもり中に読んだ本のまとめ第5弾。

ストレスが溜まっているせいもあってか、Amazonを眺めていて気になった本があるとついついポチってしまうので未読の本は増えていく一方だ。

それはともかく、今回イチオシの本は『命がけの証言』。

ウイグル人権問題、国際社会においてますます脅威になっている中国に対して日本はどのように対応するのか、皆さんにも是非知識を付けた上で考えていただきたいと思う。

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『無駄に生きるな熱く死ね』直江文忠


出典:amazon.co.jp

台湾のバラック小屋で幼少時代を過ごした後日本に移り住み、初恋の女性を病気で亡くしたことがきっかけで葬儀業界で起業し27歳で年商30億円企業まで成長させた著者によるビジネスの哲学書のような熱い言葉の数々。

思わず姿勢を正し、胸が熱くなりながらも一気に読んでしまった。

感情を揺さぶる写真と簡潔で無駄のない文章により、手元に置いて何度でも読み返したくなる一冊となっている。

『命がけの証言』清水ともみ


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中国共産党によるウイグル人弾圧について、作者と有識者との対談および過去にKindle版で出版されたものを含むマンガが7編収録されている。

中国共産党によるウイグル人弾圧は監視、強制収容、思想強制、拷問、性的虐待、臓器売買、さらにはウイグル自治区での核実験など、21世紀とは思えないナチスのユダヤ人迫害を彷彿とさせるもので許されない人権侵害となっている。

この問題を解決に導くためにも、まずは1人でも多くの人に本書などを通じてウイグル人弾圧の実情について知って欲しい。

幸いなことに日本は国民主権で個人の人権が尊重される国(日本国憲法では一応そうなっている)なので、国民1人1人が意識を変えて政治活動や人権活動に参加することで、日本政府を動かし、国際社会を良い方向に変えていくと共に日本も守らなければならない。

前作と合わせ、この作者のマンガは今年一番の衝撃でした。


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『ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在』福島香織


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新疆ウイグル自治区(旧東トルキスタン)での現地取材や在日ウイグル人へのインタビューなどを通じて現在のウイグル人たちが置かれている状況について分かりやすく書かれており、また中国共産党によるウイグル人支配とウイグル人の抵抗の歴史についても触れられている。

初心者の方には上記にご紹介した『命がけの証言』が読みやすくておすすめだが、ウイグル問題に関して理解を深めたい方は本書も合わせて読むと良いだろう。

本書にも言及のある通り、日本は欧米に比べてウイグル問題に関するメディアの報道が少ないように感じる。

ウイグル自治区や香港などにおける人権問題、一帯一路構想や南シナ海での覇権拡大に始まり、今後ますます力を付けた中国が台湾や沖縄に侵攻してくる可能性も否定できないわけであるから、隣国である日本こそこれらの問題には無関心でいられないはずだ。

メディアはウイグル問題に関する真実の報道を増やして日本人の危機意識を高め、また政府は迫害を受けている民族だけでなく自国民を守るためにも人権侵害を続ける中国共産党にはNOを突きつける必要があるだろう。

『ケーキの切れない非行少年たち 1 (BUNCH COMICS)』鈴木マサカズ、宮口幸治


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少年院に入所する境界知能(IQ70~84程度)の非行少年たちについて書かれたベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』のマンガ版。

認知力の弱さのため社会で生きづらさを抱え、後先考えずに犯罪を犯してしまう支援が必要な少年(少女)たちのそれぞれの物語がマンガで分かりやすく描かれているが、マンガに出てくる非行少年たちの目や表情がとてもリアルで惹き付けられてしまう。

非行少年や大人でも仕事や勉強においてかなりの遅れを取る人たちに対して以前は怠けているのかと怒りや軽蔑にも似た思いを抱くことがあったのだが、『ケーキの切れない非行少年たち』を読んで境界知能という言葉を知ってからは、そのような人たちに対する見る目が何だか変わったような気がする。

『ケーキの切れない非行少年たち』のファンは是非。


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『どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2』宮口幸治


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児童精神科医として非行少年たちの支援に携わってきた著者による『ケーキの切れない非行少年たち』の続編。

前作は少年院にいる認知力の弱い(IQが低い)非行少年にフォーカスして書かれていたが、今作は非行少年を支援する人たちにフォーカスして書かれている。

頑張ったらできる人は支援がなくても頑張れるのに対して、認知力が弱いために頑張ってもできない人、関わると面倒くさい人や支援を求めない人こそ積極的な支援が必要といった内容には納得させられる。

脳科学が好きな僕にとっては前作ほどの衝撃はなかったものの、支援者の心構えや重要性について書かれた本書は前作同様納得しながらすらすらと読める一冊で、前作のファンはもちろんのこと、頑張ってもできない子どもたちを支える保護者や教師、医療従事者などの人たちには特に読んで欲しい。

『アンダークラス2030 置き去りにされる「氷河期世代」』橋本健二


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氷河期世代は新卒時に就職難で非正規などのアンダークラスに陥りやすく、その後の努力で正社員などの職についてアンダークラスから脱したとしても、最初からアンダークラスではなかった人たちに比べると一般的に収入が低くてかつ未婚率が高いことが分かる。

本書では社会学を専門とする大学教授がグラフやデータを用いて氷河期世代とその他の世代間や階級間(資本家、正規労働者やアンダークラスなど)の比較を行ったもので、氷河期世代としては興味を持って読めるものの、論文調の本なので実際のアンダークラスの人々の実例や生の声などを期待して本書を購入した身としてはやや物足りなく感じた(Amazonは立ち読みできないのが難点である)。

氷河期世代は既に中年で後10年もすれば高齢者の入り口に入る人もいることを考えると、政府が今から就職支援したところで手遅れなんだよなぁ。

新卒一括採用など日本の社会構造に理不尽な取り扱いを受け続けてきた氷河期世代、また第二の氷河期世代になるかもしれないコロナ世代は、せめて政治に関わり選挙権を行使することによって声を上げましょう。

氷河期世代の実情に興味がある方は是非。

『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』高橋昌一郎


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かのアインシュタインが天才と称し、IQ300とも火星人とも言われた天才数学者ジョン・フォン・ノイマンの生涯と実績について書かれた本。

日本人にはアインシュタイン(ちなみに、本書にも名前はよく出てくる)ほど馴染みはないかも知れないが、原子爆弾を開発したマンハッタン計画における重要人物であり、京都への原爆投下を提言した人物でもある。

(広島や長崎だからと言って許されるわけではないが)もし選択肢の中にあった京都や皇居に原爆が投下されていたら、その後すんなりと戦争は終わっていなかったかも知れないし、日本人は一生アメリカを許さなかったかも知れないな。

それはともかく、本書に登場するのは天才ばかり(ノイマンやアインシュタインなどユダヤ人の頭脳には嫉妬するしかない)で、その中でも「コンピュータ」「ゲーム理論」「天気予報」を生み出したノイマンは天才の中の天才とも言えるだろう。

本書は理系じゃなくてもさほどの苦なく読むことができるので、そんな天才たちの頭脳と人生に興味がある方は是非読んで欲しい。

「考えることを楽しめば、ますます脳が発達する。フォン・ノイマンは、自分の脳が機能することを楽しんでいたんだよ」

――第7章「フォン・ノイマン委員会」より