以前は外国人観光客でごった返していたものの、すっかり人の気配がしなくなった関西国際空港から宮古島行きの飛行機に乗り込む。
コロナによる乗客数の激減で経営がヤバいのか、セールで片道8,000円という格安料金で航空券を手に入れたANAの平日発の機内では、GoToトラベルの影響なのか、若さゆえの無敵感をにじみ出しわざと騒いで注目を浴びることによって自己のちっぽけな存在を誇示しようとするひゃっはー系の若者の団体が隣に座っていて別の意味でヤバいと思った。
宮古島に到着後、宮古空港から乗ったタクシーの運転手と話した際にクルーズ船でやって来る中国人観光客はいなくなったのかと尋ねたところ、次のような返事が返ってきた。
「まぁ、いない方が良いさねぇ」
近年急速にリゾート化が進んでいた宮古島も、日本経済と同じくコロナ禍によってかなりのセットバック(後退)を余儀なくされたのではないだろうか。
今年(2020年)はコロナ禍でどこにも旅行に行けず、毎年の恒例となっている11月頃の宮古島旅行もできないかと憂慮していたのだが、今年もなんとか無事に宮古島を訪れることができた。
30代の時の流れなんてあっという間で、気が付けば今年で7年連続の訪島となる。
その間、ANAの直行便やLCCが就航して日本人観光客が増え、クルーズ船で中国人観光客が大挙して押し寄せ、伊良部大橋やみやこ下地島空港ができ、建設ラッシュで急速にリゾート化が進んだ。
「素朴な離島ながらもちょっぴり都会で暮らしやすい」
人口数千人以下の小さな離島ほど不便ではなく、かと言って那覇や石垣ほど都会ではなく外国人観光客も多くない。
そんな宮古島が好きで最近のリゾート化には心を痛めていたのだが、のんびりと飲み歩いて1年の疲れを癒すと共に来年に向けての鋭気を養うことが宮古島を訪れる主な目的の僕にとっては(ちなみに、僕はこれを1人忘年会と呼んでいる)、夜に昔からある飲食店を訪れるばかりでとりわけ真新しいことは何もない。
本記事では今回の旅行で印象に残ったグルメ写真(ちなみに、本文中のコロナとは何の関係もない)をメインにご紹介すると共に、今回の旅行について軽く振り返ってみたい。
せっかくのGoToトラベルだし大東島などまだ訪れていない離島も行きたかったのだが、今年はコロナが不安だったので他の小さな離島には立ち寄ることもなく、また宮古島での滞在も約2週間といつもより短めの滞在となった。
豪快な酒飲みが多い宮古島なので、コロナなどは気にも留めずみんな以前と同じように出歩いているものと思っていたのだが、意外にも人口密集度が低い割りに多くの人がマスクを着用していたり、多くの飲食店では検温やアルコール消毒を実施していたりした。
外からの脅威に敏感な閉鎖的な離島の性質なのか、まだ島で1人も感染者が出ていない頃は相当な騒ぎだったようである(バーのマスター談)。
宮古島でのコロナ感染者数は1日数人程度(2020年10月現在)だが、人口が5万人程度であることを考えると大阪や東京に換算すると1日数百人超ということになり、沖縄県全体と同じく割合からすると日本でトップクラスである。
大勢で酒を酌み交わすことが多い宮古島であるから、これまた大阪や東京と同じく、感染者はイーザトなど夜の街での感染が多いのだろう。
宮古島で感染注意報が発令されている最中、沖縄県議会の議員が宮古島市議会の議員と共に市内の飲食店で20人超の懇親会を開き、宮古島を含めその他の離島を視察していた県議の間でクラスターが発生したという沖縄らしいアホな話もある。
宮古島の飲食店も倒産の憂き目にあっているところがあるのではないかと心配していたのだが、僕が宮古島に通い始めた頃からある飲食店は相も変わらず営業していた。
もうすっかり顔馴染みとなった飲食店では、約1年振りに姿を見せると「久しぶり」などと言ってくれるのが何気に嬉しい(まるで季節の風物詩かのようにカレンダーをチェックされることが多い)。
宮古島に到着した初日、早速飲食店を何軒か飲み歩いた。
僕が飲み始めるのは午後6時頃からと地元の人に比べると早く、観光客があまりいないバーに行くことも多いので、店内にいるお客さんは僕1人という状況も多く(加えてコロナ禍なのもあったと思う)、時折店員さんと話しながらもゆっくりとお酒を嗜んでいた。
ところが飲み歩いた翌日は体が倦怠感に襲われてベッドから出るのも億劫になり、連日飲み歩いていると喉もイガイガしてきた。
「ひょっとしてコロナに感染したのかしら」
そんな不安が頭をよぎったのだが、単なる飲み過ぎとホテルのエアコンをガンガンにかけていたのが原因らしかった(大阪に帰ってきてから約2週間が経過しているが現状ピンピンとしている)。
もともと旅行以外ではあまり外食もせずお酒も飲まないのだが、今年1年は特に旅行にも外食にも行かずほぼ引きこもりで過ごしたせいか体も心もすっかりと弱くなったようである。
そんなわけで、日が暮れる頃から飲み始めるのを除いて、日中は外出する意欲も無くほぼほぼホテルのベッドの上で過ごしていた。
今年は同じくコロナ禍で旅行に行けなかった東京の友人が宮古島を訪れ、その際には他の観光客と同じように島を巡ったのだが、それ以外はまるで死んだように眠っていた。
旅ブロガーとしては失格の様相を呈しているが、そもそも宮古島を訪れる目的がのんびりと過ごすことなので、数日の観光に後は美味しい物を食べてお酒を飲んで寝ているだけと、考えてみれば最高の休暇である。
しかし、いくら夜に飲み歩いているとは言え、アラフォーのおっさんによくこれだけ眠る能力があるものだと感心する。
何はともあれ、今年も無事に宮古島を訪れることができ、マスクを着用しながらもほんのひととき以前の日常を取り戻すことができた。
GoToトラベルの地域共通クーポンが余っていたので昼ご飯がほとんどコンビニ飯になってしまい、昔ながらの食堂で宮古そばを食べるのを失念していたのが今回の旅行の残念な点である。
それはともかく、宮古島の話はここでひとまずおしまいだ。
大阪に帰ってきてから少ししたタイミングで第3波もやって来たし、宮古島に行けたことを幸運と捉え、またしばらく引きこもることにしよう。
来年の春頃にはまだ訪れたことがない離島に行きたいと考えているのだが、その頃にはコロナは落ち着いているのだろうか。
そして来年また宮古島を訪れる頃には、以前の日常が戻っていることを願って止まない。