「限りなく透明に近いブルー」
大神島(おおがみじま)を訪れてその透明度の高い海を目にする度、そんな村上龍の小説のタイトルが頭をよぎる。
大神島は宮古島の北北東4kmに位置する小さな小さな離島だ。
地元では「神の島」と呼ばれる自然豊かなこの島が僕は大好きで、毎年宮古島を訪れる度に大神島を訪問するのが恒例となっている。
大神島に関しては以前にも記事に書いたのだが、2020年のコロナ禍の中、マスクを着用して大神島を訪れてきたので本記事では最新の大神島の様子を写真と共に簡単にご紹介したい。
宮古島の北部に位置する島尻漁港から乗った小ぶりのフェリーはほんの15分ほどで大神島に到着した。
フェリーの中では宮古島でリゾートバイトをしているらしき若いお姉さんたちのグループがキャッキャしていた。
どうやら大神島でシュノーケリングツアーに参加するらしい。
昔はフェリーも大神島に帰る地元の人の方が多かったような気がするのだが、ここ数年で大神島にも随分と観光客が増えたようだ。
大神港の桟橋でフェリーを降りると相も変わらず一匹の犬が待機していた。
ゆりちゃんは大神島で唯一の犬(ちなみに人は約20人、猫は数十匹、カニはいっぱいいる)なのだが、年齢はもう10歳をゆうに超えているだろうか。
ゆりちゃんは僕の宮古島での数少ない友達の一人(大神島は宮古島市に属する)なので、彼女の生存確認をすることが大神島を訪れる大きな目的の一つとなっている。
昔は僕が歩き出すと後ろを付いてきて一緒に島を巡ったり、夕暮れ時の港をバックにチークダンスを踊ったりもしたものだが、歳のせいなのか現在は反応も鈍く、体を触ろうとするとしっぽをフリフリしながらどこかに行ってしまった。
あぁ、ゆりちゃん、ゆりちゃん。
かつては分かり合えた仲だと思っていたのに、そう思っていたのは僕の一人よがりの感情なのか、それとも他に良い人でも見つかったのか、まるで自分はハナからそんな気などなかったとばかりに他人行儀に去って行った。
まるで、マッチングアプリにいる女子みたいだと思った。
冗談はさておき、ゆりちゃんが元気にいることが分かっただけでも一安心である。
そう言えば、港から食堂周辺を縄張りにしていた強欲なオッドアイの猫は今回見かけなかったな。
年々太ってきていたから、糖尿病にでもなったのだろうか。
大神島の外周道路を歩く。
海がとりわけ綺麗だった伊良部島さえもここのところの建設ラッシュで海の色が濁ったように感じるのだが、そもそもの人が少ないせいか、大神島の海はいつ来ても変わらないように感じる。
大神島は周囲約3kmととても小さな島なので、徒歩で小一時間もあれば十分に回れてしまう。
宮古島からのフェリーが到着してから2時間後くらいに出る次の便(冬季は1日4便の運行となる)で帰ることもできるのだが、僕は大神島にのんびりと4時間ほど滞在して次の次の便で帰ることが多い。
遠見台に向かって素朴な集落の坂を上る。
大神島はお年寄りが多く、コロナ禍で地元の人には拒絶されるのではないかとやや心配していたのだが、マスクを着用して歩いていても人とすれ違うことはほとんどない。
大神島の中心部、集落を抜けた先にある標高74.5mの遠見台からは、360度の絶景を見渡すことができる。
大神島の全景と宮古島本島、池間島との間の目が覚めるようなサンゴ礁の海、そして沖縄本島との間に広がる大海原と、ここからの景色は宮古島の中でも一二を争うほど美しい(くどいようだが、大神島は宮古島市に属する)。
僕が大神島で一番好きな時間が、食堂のテラス席に腰掛け、島風にあたって人影の少ない港を眺めながらのんびりとビールを飲んで過ごす時間だ。
この究極の島時間を堪能するためには約4時間後に出る次の次の便で帰るくらいが丁度良いのだが、大神島には一応宿泊施設もあるので、離島マニアの方は島に宿泊してみるのも良いだろう。
「神の島」の漆黒の暗闇の中、ヤギなどの動物(ちなみに、ヤギは自殺したそうで今はいない)やおばぁに遭遇するかも知れないというお化け屋敷さながらの恐怖感が味わえる。
さて、いつもは一人で訪れることの多い大神島だが、今年は東京から来た友人と一緒に訪れたせいか、時間が過ぎるのも早く感じた。
大神島は何もない小さな島だが、とにかくその自然は美しくて訪れる度に心癒されるので、宮古島に来たら是非訪れて欲しいスポットだ。
大神島の観光情報
公式サイト:https://o-gamijima.com/
施設:食堂(売店)、宿泊施設、トイレ、シャワー
アクセス:宮古島の島尻漁港からフェリーで約15分。島尻漁港までは宮古島市街地の中心部から車で約20分(タクシーは約2,000円)。やや難易度は高めだが路線バスもあり。
住所と地図:沖縄県宮古島市平良大神
※上記は変更の可能性がありますので予めご了承ください。