スペイン南部アンダルシア州の港町タリファの旧市街から少し歩いたところにタリファ岬と呼ばれる岬がある。
タリファ岬はヨーロッパ大陸およびイベリア半島の最南端地点で、地中海と大西洋、そして海の向こうにアフリカ大陸を望むことができる絶景スポットだ。

タリファ岬。左側が地中海(Mar Mediterraneo)で右側が大西洋(Océano Atlántico)
ちなみに、スペインの最南端はモロッコの西に位置するカナリア諸島らしい。離島マニアとしてはいつか訪れたいものである。
タリファ岬の海にかかる桟橋(らしきもの)を歩くと、地中海と大西洋の2つの海を一度に味わうことができる。
左側の地中海は波がほとんどなく穏やかで、まさに地中海のイメージそのものである。

波が穏やかな地中海。ジブラルタル海峡を挟んでアフリカ大陸が見える
一方、右側の大西洋は地中海に比べると随分と波が高い。

波がある大西洋。砂浜がどこまでも続く
2つの海が重なる地点と言えば、太平洋と東シナ海を一度に望む宮古島の東平安名崎(東平安名岬)を思い出す。
海の美しさで言ったら東平安名崎から見るサンゴ礁の海には敵わないかもしれないが、東平安名崎では2つの海の境界線が分からないのに対して、タリファ岬からは2つの海の違いをはっきりと見ることができる。

地中海側の穏やかなこぢんまりとしたビーチ
もちろん、名称は後から人間が付けたものなので、名称が変わるからと言って海の表情が突然変わるわけではない。

大西洋側の波がある広大なビーチ
外海である大西洋側に対して、地中海側は岬に囲まれているので穏やかなだけだと思う(元々、地中海はヨーロッパ大陸とアフリカ大陸に挟まれているので穏やかである)が、それでも趣の異なる2つの海を同時に眺めることができるのは感動ものだ。
桟橋の先には軍事施設の跡地があるタリファ島(ラス・パロマス島)と呼ばれる島があるが、立入禁止になっていて入ることはできなかった。
モロッコに渡るフェリーに乗るためだけにタリファを訪れて滞在しない人も多いと思うが、タリファ岬からの風景だけはモロッコに渡る前に時間を作ってでも見て欲しいと思う。

これからモロッコに旅立つ人を象徴するかのような靴と鞄のモニュメント
今回のスペイン滞在中に一番感動した景色がこのタリファ岬から見る風景で、これまでの僕の旅の中でも、「世界の絶景ベスト10」に入ることは間違いなしだ。

いつまでも眺めていたくなる景色である
この景色を見るだけでも、タリファを訪れる価値は十分にあると言えるだろう。

桟橋からタリファの市街地を望む